研究課題
平成22年度は、これまでに導入した高出力のYAGレーザーを使用し、現有の分光装置を用いて5~7km/sを超える高速度範囲の極超音速衝撃波背後のCARS分光測定を遂行し、開発されたスペクトル解析結果との比較により窒素分子の振動・回転温度を求めた。実験の結果、この速度範囲のCARS計測スペクトルでは非共鳴項の寄与が大きくなり、振動・回転温度決定の誤差も増加することが判明したためスペクトル比較範囲を限定した。これらの温度はランキンユゴニオ条件により推定される平進温度上昇には追随せず、従来の解析による温度分布とは異なることが判明した。また全放射発光やプリカーサー発光の原因を光増幅高速度カメラ装置で観測した。本研究ではレーザー出力の増加に伴い光学系が損傷を受けることが判明したので、光学系の一部を改良し再構築した。また、スペクトル解析法の開発において、誤差評価を精度よく行なうことを可能としたが、500K~1000Kのスペクトルマッチング誤差は避けられない。今後、様々な改良を続けスペクトル比較解析法の精度を上げる必要がある。本年度の速い速度域でのCARS計測データは再突入問題を含めた世界の宇宙航空開発研究に大きく寄与するものである。
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