研究分担者 |
大山 聖 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10373440)
船木 一幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50311171)
李家 賢一 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20175037)
野々村 拓 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, プロジェクト研究員 (60547967)
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研究概要 |
最終年度なので,これまでの研究成果を元に得られた知見を整理すること,またそれらの知見に基づいて新たな提案に結びつけることに注力した.プラズマアクチュエータは連続的な電圧印加も,一定割合のみの印加(バースト波)がより効果的であることに現象理解のヒントがあると考えており,ここを集中的に研究対象としてきた.数値シミュレーション面では,昨年度に得られた現象理解をさらに深めた.特に,これまで多くの論文が揚力を測定することで剥離制御効果の高低を評価していたが,流れ場を観測した結果,剥離泡が作る負圧が揚力に大きく寄与するため,揚力が低くても剥離が十分抑えられているケースがあることが確認された.今後プラズマアクチュエータの効果を議論する際には揚力よりも局所圧力を利用して効果判断をすべきこと,翼型によって効果に違いが出る可能性が高いことが明らかになった.また,これまでの知見を活かして,仮想的ではあるが3次元のアクチュエータ配置を試み,それが有効であることを明らかにした.実験面では,上記の結果を踏まえて,揚力測定と並行して,翼面の特定位置数点の圧力を波数空間で調べることでプラズマアクチュエータ、特にバースト波形印加の影響を調べた.特に,プラズマアクチュエータの有効性の指標となる無次元パラメータの導出を試みた.過去の研究で無次元バースト周波数は1付近で有効との実験結果が示されている一方私たちの実験も含め5から10でも有効であることも示されている.これがレイノルズ数や取り付け位置などの違いによるものか,本質的に2つの異なるメカニズムが存在するのかを知ることを目標に実験を進めた.結果,剥離制御効果のあるバースト周波数には複数の領域が存在することが確認された.どの領域が最も効果的かについては,実験パラメータが膨大(バースト波数,基本周波数,取り付け位置など)なため,残念ながら現時点で結論づけられない.本科研費研究課題は,残念ながら本年で終了するが,上記の数値シミュレーションをさらに進めて複数の波数域のメカニズムの違いについて更に研究を進めたいと考えている.
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