研究概要 |
自然海岸や干潟は沿岸域の海洋環境に重要な役割を持つためこの地域の環境モニタリングが必要である.この作業をより安全かつ効率的に行うために,水陸両用ロボットで陸上から遠浅の地域まで幅広く自動計測する機構を考案する.今年度は,効率的な歩行動作の検討を目標として,メマカメとウミカメの歩行動作と遊泳動作の画像解析を行った後,歩行用マニピュレータを製作し,ヌマカメとウミカメの歩行動作の性能試験を行った.また砂とひれとの干渉を理論的に解析するため,シミュレーションを実施した. 歩行動作の性能試験で用いた歩行装置は,股関節3自由度,膝関節1自由度で本体がレールの上にのった構造を持つマニピュレータを用い,足先で砂を掻くことでレール上を移動する機構となっている.このときの本体の移動距離と足先にかかる力およびトルクを測定し,それより計算した推進効率と移動距離で歩行性能の評価を行った.この実験より,効率のよい歩行動作を知ることぶでき,また今後製作するカメ模倣型ロボットの設計時に検討すべき課題を把握することが可能となった.砂とひれとの力学的干渉を理論的に解析するために,二次元個別要素法を用い,砂とロボットアームの干渉シミュレーションを実施し,推進力を得る動きを行った際のアームにかかる力を調べた.実験では,アームにかかる反発力は一度ピークを迎え、その後若干弱くなって収束するがシミュレーションでは単純に増加し,最終的に実験値に近い値をとることがわかった.今後,モデルの改良を進める必要があることが判明した.
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