研究課題
2009年10月に実施した潜水調査船「しんかい6500」による中央インド洋海嶺潜航調査(主席研究員:玉木)の結果、新たに2つの熱水噴出域を発見した。インド洋ではこれまでにまだ2つの熱水噴出域しか発見されていないので、新たな2つの熱水噴出域の発見は重要である。二つの熱水噴出域ともに、鉱床の発達規模は小さいが、本研究の主要課題の一つとする中央海嶺の熱水鉱床形成過程の研究には重要であり、両地域において金属硫化物の試料も採取し分析を実施中である。発見した両熱水噴出域は、多様な生物群集をともない、新種を含む多くの発見がなされた。2010年中にインパクト係数の大きい学術誌に短報を投稿の予定である。2009年7月および2010年3月に東京大学淡青丸により伊豆小笠原弧明神礁海域の調査航海を実施した。7月の航海は玉木が主席研究員を務め、岡村も乗船した。3月の航海は岡村が乗船し航海を実施した。その結果、カルデラ外に、複数の顕著な熱水活動の兆候の発見、カルデラ内に新たな熱水鉱床賦存の証拠を発見し、大きな成果を得た。また、同海域においてこれまでにない精度で、多数の火山岩試料採取を行い、火山岩の化学分析を行い、同海域のマグマ結晶分別作用を明らかにした結果、マグマ結晶分別作用と熱水鉱床胚胎との関連に関する研究も進めることができた。前年度(2008年)に沖縄海域、明神礁海域で実施した、AUV(無人探査艇)に搭載した三成分磁力計により取得したデータを解析処理した結果、熱水鉱床胚胎域と地磁気異常強度低下域の顕著な相関を確認し、物理探査学会誌に結果を投稿した。また、沖野の実施した深海三成分磁力計の小型化への改修整備が完了した。本深海三成分磁力計は、平成22年度に南西インド洋海嶺で沖野が主席を務める航海で、調査に使用する予定である。
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