研究概要 |
H22年度は研究のまとめとして,これまでに得た実験データと構築した分離性能解析コードを活用し,実用的な水処理システムの設計検討を行った。 カナダ重水炉の実績値より,ITER規模の核融合炉の冷却水中トリチウム濃度を370 GBq/kgとした。 また,冷却水中へのトリチウム透過量は実証炉規模で130g/dayと予想されていること,現在開発が進み透過防止策により透過量が1/100に低減できる見通しがあることから,設計する水処理システムの処理流量を60kg/hと設定した。 CECE(Combined Electrolysis and Chemical Exchange)装置の電解槽処理量を1/10とするため,低温低圧および高温高圧の化学交換塔を組み合わせた前処理システムを提案し,CECE装置と前処理装置に含まれる3つの化学交換塔には本研究で開発した「均一混合充填方式」を採用した水一水素化学交換反応塔を適用し,装置規模が実現可能な範囲で合理的に小さくなるよう検討した。 低温低圧塔は20℃,0.1気圧,高温高圧塔は140℃,10気圧という比較的穏やかな条件において,必要な塔高はそれぞれ6m,塔内径は2mおよび30cmと見積もられ,この前処理装置により被処理水の体積を1/13とできることがわかった。これに,塔高10m,塔内径10cmの化学交換塔および電解処理量9m^3/hの電解槽からなるCECE装置を組み合わせて,目的の水処理が可能であることを示した。
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