研究概要 |
平成22年度は,昨年度までに行った物理設計・工学設計をもとに,エルゴディック層を有する閉構造ダイバータの建設を開始した.閉構造ダイバータは数年にわたり段階的に行っていく計画であり,本年度は10セクション中2セクションが完成し,第14実験サイクルに供することができた.現時点でバッフル内に排気装置は有していない. 建設と並行して周辺計測器の整備も昨年度に引き続き行った.ダイバータ部に導かれたプラズマが中性化し,効率よく系外に排気されるためには,バッフル内の圧力を高める必要がある(中性粒子の圧縮).このプロセスを検証するために,強磁場環境下で計測可能な「高速イオンゲージ」をバッフル内に設置した.また,ダイバータへの熱粒子束の計測に不可欠なラングミュアプローブ・アレイもバッフル内に設置した. 10月より開始された実験では,機器の健全性を確かめるとともにダイバータ性能を確認するための初期的な実験も行った.標準的な中性粒子入射加熱放電を行い,閉構造ダイバータによる中性粒子圧縮率を,磁場配位,密度領域,粒子供給方法を変化させて系統的に調べた.今回設置した高速イオンゲージによる圧力計測から,閉構造ダイバータ部では,中性粒子圧力が開構造部と比較して10倍~20倍程度高くなっていることが明らかになった.この結果は,昨年度までに行ったシミュレーション結果と良く一致している.今回の実験では,バッフル内を積極的に排気していなこともあり,主プラズマのパラメータに大きな変化は見られなかった.
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