研究概要 |
平成22年度研究計画に基づき、超高真空測定容器内の試料へ真空紫外光を照射するための光学系(1対1系)の設計・製作を行った。構成としては、窓フランジ、フィルター等用の汎用ホルダー、集光レンズ(メレスグレオ社、2インチ両凸レンズ、F値0.3,f=121.2mm@193nm)、ベローズ管(真空光学社製)、重水素放電管(D2ランプ)(浜松ホトニクス社L1835,150W)からなる。D2ランプからの短波長光は石英を通過せず、通常の光学部品は使用することができない。そのため、フッ化マグネシウム(MgF2)材の特殊な窓フランジ、レンズ、D2ランプ管を用意した。また超短波長であるため光路は全て真空排気される必要がある。しかし、レンズ等の真空中に置かれた光学部品の微小な位置合わせは全て大気側から行う必要がある。そのため、ツバ付ベローフランジ内部にレンズを収納し、ベローの伸縮で光軸Z方向を、ツバネジの調整によるフランジ面の傾きでXY方向の調整を行う機構とし、集光スポット(径~2.5mm)位置を微調整することができる。 有機半導体であるSiフタロシアニン(SiPc)分子の配向薄膜を予め作成し、重合により高配向した一次元有機半導体[-(SiPcO)n-]を合成する技術のための基礎研究を行った。高い配向度となる実験条件の探索として、蒸着膜の厚みが配向度に及ぼす影響について調べた。出発物質であるSiPcCl2分子と生成物(SiPcO)nのX線吸収スペクトルを明確に理解し区別するために、X線励起状態について等価殻近似に基づく分子軌道理論計算を行った。また、SiPcXY, SiNaphXY, X=CH3, 0H, Cl, Naph=ナフトシアニンといった種々の置換基をもつSiフタロシアニン分子の参照化合物のX線吸収スペクトル測定を行い、各吸収ピークの起源を考察した。
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