研究概要 |
本研究は、研究代表者らが独自に開発してきたイオン液体を用いて、従来より格段に優れた次世代エネルギー変換・貯蔵デバイスの実現を目的としている。平成21年度の成果は以下のとおりである。 A-1.フルオロハイドロジェネート系イオン液体の無加湿燃料電池への応用 従来のEMIm(FH)nF系と比較して、EMPyr(FH)nF系が高い熱的・電気化学的安定性を有し、酸素還元反応も進行しやすいことを明らかにした。燃料電池反応の基盤であるアノード反応(水素極)およびカソード反応(酸素極)の詳細を、回転リングディスク電極で検討し、EMIm(FH)nF系およびEMPyr(FH)nF系における25-100℃での水素および酸素の溶解度・拡散係数を明らかにした。 A-2.フルオロハイドロジェネート系イオン液体のスーパーキャパシタへの応用 従来のEMIm(FH)nF系よりも優れたイオン液体として、DMIm(FH)nFおよびMOMMPyr(FH)nFを見出した。 DMIm(FH)nFは容量密度が、MOMMPyr(FH)nFは耐電圧が向上し、エネルギー密度が向上した。 B-1.イミド系イオン液体の金属リチウム二次電池への応用 3元系(Li,K,Cs)TFSAが、融点、粘性、イオン伝導性、リチウム金属析出に対する安定性などの観点から最も有望であることを明らかにした。実際に150℃において、Li/(Li,K,Cs)TFSA/LiFePO4という電池作動させ、極めて良好な充放電サイクルを得ることに成功した。 B-2.イミド系イオン液体のナトリウム二次電池への応用 2元系(Na,Cs)TFSAが、融点、粘性、イオン伝導性、ナトリウム金属析出に対する安定性などの観点から優れていることを見出した。実際に、Na/S電池およびNa/NiCl2電池が作動することも確認した。
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