研究課題
本研究は、これまで全く明らかになっていない植物の師部組織における細胞間シグナルセンターとしての役割を明らかにすることを目指している。そのために、本年度は、1)師部の分子マーカーの同定、2)そのマーカーを用いた師部を構成する細胞の性格付け、3)師部によるシグナル受容の例としてのCOE1受容体の機能解析、4)師部細胞からのシグナル発信の例としての師部分泌性TDIFの機能解析を行った。1)ヒャクニチソウを用いたアレイ解析と師部関連転写因子導入植物体でのアレイ解析から得られたデータをもとに、師部関連遺伝子を10種程度推定した。これらのマーカーラインを作成または他の研究者から分与してもらい、発現を調べた結果、2種のマーカーラインが師部マーカーとして使えることが明らかとなった。2)これらの発現を詳細に調べ、1つは未成熟師部の、他の1つは師部伴細胞に局在することが明らかとなった。3)イネCOE1に対するシロイヌナズナホモログの解析を行い、師部に発現することを明らかにした。師部形成におけるオーキシンの関与を明らかにするために、シロイヌナズナ発生初期の葉を用いて、オーキシンの流れと維管束分化初期細胞を鮮明に観察する方法を開発した。4)TDIF過剰発現体と外からのTDIF投与による詳細なTDIF機能解析の結果、TDIFは木部細胞分化の抑制だけでなく前形成層細胞の分裂促進に働くことが明らかになった。また、このTDIFシグナルは細胞内で2つに分岐することが示唆された。
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http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seigyo/lab.html