研究課題
私たちは師部を中心にしたシグナル伝達系を明らかにすることで、師部とそのまわりの細胞との細胞間相互作用、ひいては植物の組織構築における細胞間相互作用の基本的原理を明らかにしようと考えた。本年度は以下のテーマについて研究を行うとともに、それをまとめた小冊子を作成した。1.COE1(LRR-RLK)受容体の機能解析:COE1機能を知るために、連絡脈の間隔に異常をもっcoel変異体と野生型イネに対するオーキシンとブラシノステロイド添加実験を行った。また、ブラシノステロイド受容体に変異を持つd61変異体の解析と野生型イネへのブラシノステロイド添加実験を行った。これらの結果から、COE1は師部においてシグナルを受容し、その近傍での連絡脈形成の阻害を促進する。一方で、オーキシンシグナルとブラシノステロイドシグナルはその下流にあるCOE1を正に制御することで連絡脈の形成間隔を制御するというモデルを提示した。2.CLE41機能の解明:12アミノ酸からなるペプチドシグナル分子TDIFをコードし師部特異的に発現する遺伝子の機能解析を行った。この遺伝子の突然変異体では、前形成層細胞で発現する受容体TDRの変異体と同じように前形成層異常という表現型を示したことから、師部でつくられるTDIFが細胞間シグナルとして前形成層細胞の発生運命を制御していることが遺伝学的に確かめられた。3.師部形成に関与すると考えられるCLEペプチドの発現解析を行った。このCLEペプチドは木部に発現することが分かり、木部から師部へのシグナル系が師部分化に関与する可能性が示唆された。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件) 学会発表 (21件) 図書 (4件) 備考 (1件)
Plant Cell Physiol.
巻: 52 ページ: 14-29
巻: 52 ページ: 37-48
巻: 52 ページ: 112-124
Development
巻: (in press)(掲載確定)
Plant J.
Curr.Opin.Plant Biol.
巻: 14 ページ: 17-23
Plant Cell
巻: 22 ページ: 1249-1263
Curr.Biol.
巻: 20 ページ: 1197-1202
Plant Journal
巻: 63 ページ: 405-416
巻: 22 ページ: 2618-2629
巻: 22 ページ: 3461-3473
巻: 137 ページ: 3911-3920
Proc.Natl.Acad.Sci., USA
巻: 107 ページ: 21890-21895
J.Int.Plant Biol.
巻: 52 ページ: 8-16
巻: 13 ページ: 670-676
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seigyo/lab.html