研究課題
我々は1)新規ペプチド・キスペプチンによるGnRHニューロン制御が神経修飾系も含めたすべてのGnRH神経系に及び、生殖と性行動の調和のとれた制御をする、2)GnRHとキスペプチンというペプチド神経系が脊椎動物を通じて生殖以外にも重要な神経修飾系として働いている、という作業仮説を提唱している。これを実証するために、各種トランスジェニックメダカを作成してパッチクランプなどの電気生理学的実験やニューロン特異的破壊のできる実験系などの最先端技術を確立し、これらのペプチド神経系による神経回路修飾の機構を分子から行動のレベルまで明らかにするための実験を計画した。本年度は次のような研究実績を上げた。1)GnRHニューロンGFPトランスジェニックメダカを用いて3種のGnRHニューロンすべての電気生理学・形態学的特徴の解析に成功した。特に、GnRH2ニューロンの活動記録は世界初である。HPG軸の中心要素であるGnRH1ニューロンではエピソディックな自発電気活動と毎目の産卵周期に同期した活動が見られること、HPG軸に関与せず神経修飾作用をもっGnRH2ニューロンとGnRH3ニューロンでは規則的ペースメーカー活動が見られることを証明した。2)キスペプチンニューロンがGFPを発現するトランスジェニックメダカ作成を完成問近まで近づけ、平成21年度にそれらを用いた形態学・生理学実験により、既に確立しているGnRHトランスジェニックメダカと合わせて、両ペプチド神経系が形成する神経回路の解析を可能にした。3)GnRHペプチドによる神経回路修飾の実験モデル系として、キンギョ嗅球・嗅上皮のin vitro標本を開発した。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (19件) 備考 (1件)
Journal of Neuroendocrinology 21
ページ: 334-338
ページ: 489-505
Journal of Neuroendocrinology (in press)
Endocrinology 149
ページ: 2467-2476
ページ: 3540-3548
General and Comparative Endocrinology 156
ページ: 277-284
Zoological Science 25
ページ: 492-502
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/naibunpi/Oka/Oka_lab/publications.html