研究課題
真核生物の特に核内タンパク質を標的として、クロマチンリモデリング因子、転写活性化因子、転写抑制化因子、基本転写因子を対象に、NMRを用いて、単独の時の動的構造、遭遇複合体の動的構造、中間体の動的構造、特異的複合体の動的構造を解析し、核内転写関連因子の天然変性状態と動的構造を解析する。特にクロマチンリモデリング因子のEsa1、神経特異的転写抑制因子REST/NRSFの転写抑制ドメインとコリプレッサーmSin3との複合体、基本転写因子TFIIEとTFIIHとの複合体、ストレス応答の転写因子ATF2の転写活性ドメインとDNA結合ドメインとの複合体の静的な構造に加えて動的構造をNMR法で解析することを目的とした。クロモドメインはメチル化ヒストンを認識するドメインであることがHP1のクロモドメインやポリコーンのクロモドメインやヒトCHD1のタンデムに並んだクロモドメインで知られている。ここでは酵母での生育に必須のヒストンアセチル化酵素Esa1のクロモドメインの構造をNMRで解析しベーダバレル構造を持つtudorドメイン構造であることを見出した。このtudorドメイン単独ではヒストンペプチド結合活性やRNA結合活性を全く持たなかった。このtudorドメインのさらにN末とC末に伸ばすと新たなベーダシートが形成されknotted tudorドメインという新規構造であることを見つけた、さらにknotted tudorドメインはヒストンペプチドには結合しなかったがピリミジンに富む配列のRNAに結合する活性をもつことを見出した。このRNA結合に必須なアミノ酸をアラニンに変異したEsa1では酵母の生育が阻害されたことから、Esa1のRNA結合活性は酵母の生育にとって必須であることを見つけた。
すべて 2008 その他
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J. Mol. Biol. 378
ページ: 987-1001
http://www.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/stbiol/index.html