EMT進行に伴う細胞浸潤活性亢進の分子機構解明のため、本年度においては、E-cadherin細胞-細胞間接着の破壊に焦点を当てた。私どもは既に、EphA2によるArf6の不活性化がE-cadherin接着の形成と維持に必須である事を報告している。一方、他のグループから、Arf6の活性化がE-cadherin接着の破壊をもたらす事が報告されている。本年度私どもは、TGFβ1によってEMTが誘導されるNMuMG細胞をモデルとし、TGFβ1刺激によってArf6の活性化がおこること、その際、活性化に関わるGEFはGEP100である事、活性化されたArf6はAMAP1とAMAP2を下流シグナル因子として用いること、AMAP1とAMAP2はEb15と命名した蛋白質と複合体を形成し、E-cadherinとp120ctnとの複合体形成の破壊を引き起す事を、演繹的方法論と還元的方法論両者において明らかにした。現在、GEP100はどのようにしてTGFβ1刺激により活性化されるのかを解析している。
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