研究課題/領域番号 |
20247031
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研究機関 | 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構 |
研究代表者 |
佐藤 矩行 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構, マリンゲノミックスユニット, 代表研究者 (30025481)
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研究分担者 |
高村 克美 福山大学, 生命工学部, 准教授 (30206883)
笹倉 靖徳 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (10400649)
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キーワード | 遺伝子ネットワーク / 脊椎動物 / 中枢神経系 / 細胞分化 / トランスジェニック系 / マイクロアレイ / GFP / 脳の領域化 |
研究概要 |
本研究の目的はホヤ胚中枢神経系の発生に関わる遺伝子ネットワークを解明することである。ホヤの発生にともなって約2600個の細胞からなるオタマジャクシ幼生が形成される。脊索や背側中枢神経系をもつこの幼生の体制は、脊椎動物を含む脊索動物の体制の最も基本的なものである。その中で中枢神経系を構成する細胞数は約350で、感覚胞(脳)は約285、尾部神経索は約65(これは全て上衣細胞である)の細胞から成る。またいわゆるニューロンの数は約100個とされ、感覚胞に約60個、運動神経節に5対10個の運動ニューロンを含む約20個、それ以外の領域に約20個存在するとされている。このわずか約350個の細胞からなる中枢神経系は光・重力・水圧などの変化に対応する幼生の充分複雑な行動を支配している。本研究においては、ホヤ胚中枢神経系の細胞系譜の完全記載と中枢神経系形成時に発現する遺伝子の網羅的記載をもとにホヤ中枢神経系の遺伝子発現アトラスを構築することである。作年度にCi-Nut : GFPをMinosに組み込んだトランスジェニック系統(神経胚期から中枢神経系の細胞のみがGFPを発現する)を利用して幼生から細胞を解離し、GFPポジティブな細胞のみを集めた。2002年にドラフトゲノムが解読されたカタユウレイボヤでは、遺伝子のゲノムワイドな転写産物情報をもとに44Kのオリゴヌクレオチドベース・マイクロアレイができている。そこで、集めた神経系細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った結果、約500個に及ぶ中枢神経系遺伝子の候補を得た。その中には既知の神経特異的遺伝子の他に、多くの神経ペプチド関連遺伝子が含まれていた。そこでさらにwhole-mount in situ hybridization法によってこれらの遺伝子の空間的発現パターンを解析した結果、発現プロフィルをもとに、脳領域が背側、腹側、前方部などを含む6つの領域に大別することができることが明らかになった。現在、細胞レベルでの発現の解析を進めている。
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