研究課題
午前中の異なる照度条件が夜間のメラトニン分泌、体温リズムに及ぼす影響と季節差を検討するため、夏季実験を昨年の冬季実験と同様の方法で夏至前後に実施した。その結果、夜間メラトニン分泌に対する午前中の光条件の影響について明確な季節差はなかった。一方、午前中の強い光曝露は、夜間の光による位相後退を緩和し、体温リズムを前進させた。冬季の光に対する感受性の増大により、体温リズム調整を安定化させる効果がみられた(安河内)。夏季暑熱負荷時の体温調節反応における協関パターンと生活行動履歴の関係を明らかにするために、北海道出身の健康な20歳代の男性15名を対象に、下肢温浴実験、最大酸素摂取量測定、行動量調査、食物摂取頻度調査、基礎代謝量測定を実施した。最大酸素摂取量の増加は、暑熱下の発汗開始の遅延、発汗上昇の抑制、発汗開始時の皮膚血流の増加をもたらすことが示唆された。また、昨年度実施した冬季寒冷下における一連の実験を6名について追加実施した。冬季データおよび冬季と夏季の類似性については現在解析中である(前田)。若年成人男子14名を対象に、慨日リズム位相と夜に光曝露(1000lux,4時間)を行ったときのメラトニン抑制率の関係を調べた。その結果、両者の間には負の相関関係が認められ、光に対するメラトニン抑制の反応性が高い個体ほど慨日リズム位相が早いことが分かった。光に対する非視覚系の反応の個体差が慨日リズム位相に影響している可能性が示唆された(樋口)。直立耐性の個人差に関連して、高齢者約200名を対象に生活習慣と立ちくらみに関するアンケートとを実施した。大学生を対象とした昨年度の結果と同様に高齢者においても夜型志向と立ちくらみの頻度の関係に有意な関係が認められたが、大学生で認められた身体活動の有無と立ちくらみの頻度との関係について、高齢者では認められなかった。また直立耐性の潜在機能の顕在化について電子制御型下半身陰圧刺激装置を製作し性能評価実験を実施した(石橋)。
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空気調和・衛生工学会北海道支部第43回学術講演会論文集
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