研究概要 |
pla3変異体の原因遺伝子のクローニングが終了し、glutamate earboxypeptidaseをコードすることを明らかにした。In situ hybridizationにより、PLA3遺伝子はシュートメリステムを含むほとんど全ての組織で発現するとこが明らかになった。PLA1,PLA2遺伝子はシュートメリステムでは発現せず、葉原基のみで発現することにより葉原基の分化抑制に関わっていると推定したが、PLA3タンパクは、シュートメリステムで直接葉原基の分化抑制を行っている可能性がある。pla3変異体は、葉間期以外にもシュートメリステムの維持の異常などを示すので、多面的な機能を持っていると考えられる。PLA1の弱い変異体であるpla1-4を変異原処理後、本年度M2集団を展開したところ、サプレッサー変異体の可能性のある系統が見つかったので、来年度以降解析する。葉の向背軸パターンが異常となるad11, ad12変異体の解析を進め、ADL1遺伝子がcalpain-like cysteine proteinaseをコードすることを明らかにした。その後、ADL1遺伝子の強いアリルを見いだし、胚でのシュートの分化、胚乳の糊粉層の分化も制御していることを明らかにした。幼猫致死となるfsm変異体の原因遺伝子はchromatin assembly factor-1(CAF-1).のp150 subunitをコードしており、多重蛍光in situ hybridization法をイネで確立することにより、FSM遺伝子がG2期の細胞で発現し、変異体では細胞周期(S期、G2期)が長くなっていることを明らかにした。しかも、細胞周期の延長によりメリステムへの細胞の供給が減少するにもかかわらず、葉原基の分化速度は変わらないため、メリステムの未分化細胞が消費され、メリステムが消失すると考えられた。変異原処理後のM2集団(約700系統)をスクリーニングし、幼猫致死となるものや幼猫のシュートの形態が異常となるものなど興味深い変異体が多数得られた。来年度以降解析を始める予定である。
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