本研究では、イネをモデル植物として、種子デンプンの構造をバイオテクノロジーによって改変する技術を確立し、デンプンを新産業用素材として使用する基盤を築く。この成果を踏まえ、新規デンプンを生産するイネ品種の育成をめざし、コメ需要の飛躍的な拡大に資する。産業利用を意識したバイオ技術によるコメデンプンの開発につながる基本技術を確立し、育種素材を作出する。 (1)イネデンプン形質転換体および変異体ライブラリーを作製した上で、アミロペクチンの分子構造やデンプン構造および物性をバイオテクノロジーによってどの程度まで改変し得るのか、その可能性の限界と範囲を見極める。 (2)こうして作成したテーラーメイド・デンプンがどのような物性を有するかを解析し、将来どのような産業分野で利用可能かを調査・試行する。 (3)デンプン合成代謝にはまだ未解析で機能が不明な酵素(ホスホリラーゼ、DPE酵素など)がある。これらの遺伝子の機能を解明する。また、複数の酵素間の相互作用を解析する実験系を確立した上で明らかにする。 (4)研究実施期間中に、国際シンポジウムを開催し、成果を世界にアピールするとともに、世界のリーダーと意見交換し、共同研究の可能性を討議する。
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