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2009 年度 実績報告書

作物による土壌蓄積リン資源の獲得戦略の多様性と施肥量削減への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20248003
研究機関大阪府立大学

研究代表者

大門 弘幸  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50236783)

研究分担者 矢野 勝也  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00283424)
阿部 淳  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (60221727)
キーワード環境調和型農林水産 / フィチン / 有機態リン / ラッカセイ / リン肥料 / 窒素肥料 / 窒素固定 / 作付体系
研究概要

本年度は作物によるフィチン吸収機構の解析を作物根,土壌,微生物の3つの視点から検討した.結果の概要は以下の通りである.
ラッカセイ幼植物にリン肥をフィチン酸カルシウム(粉末)で施肥したもの[フィチン区]をリン酸三カルシウムで施肥したもの[無機リン区],カルシウムのみでリンは与えないもの[対照区]と対比して,主根横断面のリン濃度をX線マイクロアナライザーで推定した.対照区では,中心柱において,種子由来と推定される低濃度のリンが検出されたのみであったが,フィチン区の根では無機リン区の根と同等かそれ以上のリンが検出され,フィチン由来のリンが吸収されていたものと推定されたが,根の横断面内での位置や各組織によるリン濃度の差異はみられなかった.また,土壌に蓄積したフィチンが植物に利用されにくい原因を探るため,ラッカセイ,ダイズならびにトウモロコシにフィチン酸ナトリウムを供与し,水耕および土耕条件でリン獲得能を比較した.水耕条件では,いずれの植物もフィチン酸をリン酸源として容易に利用した.水耕液を分析したところ,交換直後1時間以内でほとんどのフィチン酸が分解してリン酸イオンを放出していた.対照的に,土耕条件ではフィチン酸がリン酸源としてほとんど機能しなかった.フィターゼを含む酵素液に砂を添加してもその酵素活性は変化しないのに対して,土壌を添加した場合には速やかに酵素活性が低下したことから,土壌吸着作用による酵素活性の低下がフィチン利用能を妨げる原因のひとつと推察された.さらに,ラッカセイ根粒菌によるフィチンおよび難溶性無機リンの溶解活性を調査したところ,フィチン分解活性は認められなかったが,鉄態およびカルシウム態のリンの溶解活性を顕著に示す系統が認められた.一方,数種マメ科作物の根圏微生物のフィチン溶解活性を調査したところ,高い活性を示す系統が2系統認められた.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Seed P-enrichment as an effective P supply to wheat2010

    • 著者名/発表者名
      Sekiya N, Yano K
    • 雑誌名

      Plant and Soil 327

      ページ: 347-354

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 緑肥作物の導入と農耕地におけるリンの再利用2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 雑誌名

      農業および園芸 85

      ページ: 198-204

  • [雑誌論文] 果樹園芸生産における緑肥利用と草生管理2010

    • 著者名/発表者名
      松村篤・大門弘幸
    • 雑誌名

      農業および園芸 85

      ページ: 161-168

  • [雑誌論文] 緑肥特集を組むにあたって2010

    • 著者名/発表者名
      大門弘幸
    • 雑誌名

      農業および園芸 85

      ページ: 135

  • [学会発表] 植物のフィチン利用能:水耕および土耕での比較2009

    • 著者名/発表者名
      大西淳志, 矢野勝也
    • 学会等名
      第31回根研究集会
    • 発表場所
      秋田県立大学
    • 年月日
      2009-11-21
  • [学会発表] アズキの初期生育に及ぼす菌根菌Glomus aggregatumの影響-接種による耐湿性向上の可能性-2009

    • 著者名/発表者名
      小森二葉・松村篤・大橋善之・大門弘幸
    • 学会等名
      第31回根研究集会
    • 発表場所
      秋田県立大学
    • 年月日
      2009-11-21
  • [図書] 新しい植物学・20章栄養分と肥料2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 出版者
      培風館(印刷中)
  • [図書] 作物学用語事典2010

    • 著者名/発表者名
      大門弘幸
    • 総ページ数
      176,178,210
    • 出版者
      農文協
  • [図書] 作物学用語事典2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 総ページ数
      110
    • 出版者
      農文協
  • [備考]

    • URL

      http://www.plant.osakafu-u.ac.jp/~mishiba/Daimon_02.html

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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