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2010 年度 実績報告書

作物による土壌蓄積リン資源の獲得戦略の多様性と施肥量削減への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20248003
研究機関大阪府立大学

研究代表者

大門 弘幸  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50236783)

研究分担者 矢野 勝也  名古屋大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00283424)
阿部 淳  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60221727)
キーワード環境調和型農林水産 / フィチン / 有機態リン / ラッカセイ / リン肥料 / 窒素肥料 / 窒素固定 / 作付体系
研究概要

本年度は,ラッカセイによる有機態リンの吸収機序の解析を継続するとともに,Sesbaniaのリン回収能の評価と実際に緑肥としてすき込んだ際の後作物へのリンの供給力を定量した.また,土壌中に蓄積したフィチンの溶解に緑肥すき込みが及ぼす影響を調査し,あわせてフィチン分解微生物の単離を試み,これらをもって最終年度のとりまとめとした.先ず,有機物含量の高い黒ボク土と有機物含量の低い鹿沼土に,ラッカセイ6品種とダイズ1品種を移植してリン施肥反応を調査したころ,鹿沼土でのリン施肥反応はダイズで大きく,ラッカセイで小さく,ラッカセイの方が無機態難溶性リン利用能が高いことが示唆された.黒ボク土での施肥反応はラッカセイ品種間で異なり,サウスイーストランナーとバレンシアが有機態リン利用能が優れる可能性を認めた.また,対照区(リン無施肥)、過リン酸石灰区、フィチン酸カルシウム区を設けてバーミキュライトでラッカセイとトウモロコシの幼植物を栽培したところ,ラッカセイではフィチンは過リン酸肥料と同様に利用される可能性が示された.なお,根をトルイジンブルー染色した結果からは,フィチンの形態で根が吸収しているという証拠は認められなかった.Sesbaniaの緑肥としてのリン供給能は種とすき込み時期によって異なり,西南暖地の水田で畑への転換後に地力が低下した圃場では,乾物生産量や着莢時期などの特性を考慮すると,S.rostrataは8月下旬から9月上旬にかけて,S.cannabinaは8月下旬から9月中旬にかけてすき込むことで早期に地力増強が可能であることが示された.有機態リンが蓄積している圃場ではC/P比か高い茎部が多い資材をすき込むととで,可給態リンを増加させる可能性が推察された.数種マメ科作物の根圏微生物のフィチン溶解活性を調査したところ,高い活性を示す2系統を単離することができた.

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) 図書 (2件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Applying hydraulic lift in an agroecosystem : forage plants with shoots removed supply water to neighboring vegetable crops2011

    • 著者名/発表者名
      Sekiya N, Araki H, Yano K
    • 雑誌名

      Plant and Soil

      巻: 341 ページ: 39-50

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 土壌不均一系における水・溶質移動と植物根との相互作用2011

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 雑誌名

      雑草研究

      巻: 56 ページ: 19-23

    • 査読あり
  • [学会発表] 水田転換畑ダイズにおける生育初期の過剰水分が菌根菌感染率と菌根菌バイオマスに及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      服部林太郎, ら
    • 学会等名
      日本作物学会第231回講演会
    • 発表場所
      東京農大(厚木市)
    • 年月日
      2011-03-31
  • [学会発表] 水田転換畑ダイズにおける生育初期の過剰水分が生育および収量と菌根菌感染率に及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      服部林太郎, ら
    • 学会等名
      農研機構シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学(文京区)
    • 年月日
      2010-12-07
  • [学会発表] 緑肥すき込み後の作物生育の阻害におけるアーバスキュラー菌根菌による緩和2010

    • 著者名/発表者名
      山田奈央子, ら
    • 学会等名
      第33回根研究集会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(姫路)
    • 年月日
      2010-11-13
  • [学会発表] 沖縄本島のウコン圃場におけるアーバスキュラー菌根菌の調査2010

    • 著者名/発表者名
      山脇賢治, ら
    • 学会等名
      第33回根研究集会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(姫路)
    • 年月日
      2010-11-13
  • [学会発表] セスバニア属植物のリン吸収に着目した水田転換畑における地力増強効果2010

    • 著者名/発表者名
      佐伯聡一, ら
    • 学会等名
      第33回根研究集会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(姫路)
    • 年月日
      2010-11-13
  • [学会発表] 水田転換畑ダイズにおける生育初期の過剰水分が生育と菌根菌感染率および土壌中の菌根菌バイオマスに及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      服部林太郎, ら
    • 学会等名
      第33回根研究集会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(姫路)(予報)
    • 年月日
      2010-11-13
  • [学会発表] 緑肥としてすき込んだSesbania rostrataがコムギの養分吸収に及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      佐伯聡一, ら
    • 学会等名
      日本作物学会第230回講演会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2010-09-03
  • [学会発表] 作物の窒素栄養に対する菌根共生系の関与2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 学会等名
      日本雑草学会第25回シンポジウム・東北農研シンポジウム
    • 発表場所
      コラッセ福島(福島県)
    • 年月日
      2010-08-20
  • [学会発表] マメ科根圏微生物の難溶性無機リンおよびフィチンの溶解能2010

    • 著者名/発表者名
      松村篤, ら
    • 学会等名
      第32回根研究集会
    • 発表場所
      作物研究所(つくば市)
    • 年月日
      2010-04-21
  • [図書] 作物学用語事典・根(マメ科)2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 総ページ数
      406
    • 出版者
      農山漁村文化協会
  • [図書] 新しい植物科学:環境と食と農業の基礎・20章栄養分と肥料2010

    • 著者名/発表者名
      矢野勝也
    • 総ページ数
      225
    • 出版者
      培風館
  • [備考]

    • URL

      http://www.plant.osakafu-u.ac.jp/~daimon/HOME.html

  • [備考]

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~sakumotu/yano/index.html

  • [備考]

    • URL

      http://papilio.ab.a.u-tokyo.ac.jp/cem/abe/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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