研究概要 |
1.AVR-Pikmの候補遺伝子をイネいもち病菌ゲノムライブラリーから選抜した。分離分析の結果これがAVR-Pikmである可能性が極めて高いことが示唆された。塩基配列を調べたところ、これは、Yoshida et al.(2009)によって報告されたAVR-PikのホモログA,Bに相当することが判明した。 2.AVR-PiztはすべてのM.oryzae菌株に存在しているユニークな非病原力遺伝子である。本遺伝子ホモログの機能を調べたところ、いずれもほぼ機能を維持していることが判明した。さらに、本遺伝子の座乗染色体を調べたところ、どの菌株においても安定して第7染色体に座乗することが明らかとなった。 3.PWT1,PWT3,PWT4をクローニングするため、PWTIが由来するアワ菌GFSI1-7-2,PWT3,4が由来するエンバク菌Br58、ならびにそれらを持たないコムギ菌Br48の全ゲノム配列をシークエンスした。現在これらをアセンブルしているところである。 4.アワいもち病菌のコムギに対する非病原力遺伝子PWT1はコムギ品種に広く作用する。これに対する抵抗性遺伝子を同定するためには、PWT1を認識しない品種が必要であるが、そのような品種は普通系コムギの中に存在しなかった。一方、オオムギ品種をスクリーニングしたところ、PWT1を認識しない品種Nigrateを見出した。これを感受性品種として分離分析を行った結果、PWT1に対応する抵抗性遺伝子を同定することに成功した。これをRmo2と命名した。分子マッピングの結果、Rmo2は7H染色体に座乗することが判明した。
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