• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

微生物の新規窒素代謝系の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20248009
研究機関東京大学

研究代表者

祥雲 弘文  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012036)

研究分担者 佐々木 康幸  東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (50398814)
キーワード脱窒 / Fusarium oxysporum / 亜硝酸還元酵素 / nirK / フラボヘモグロビン / P450nor / 放線菌の硝酸呼吸 / 硝酸還元酵素
研究概要

当研究室で長年研究してきた脱窒真菌Fusarium oxysporumより、脱窒に関わる亜硝酸還元酵素(dNir)遺伝子(nirK)の単離に成功し、それが細菌脱窒系のnirKのオルソログであることを明らかにした。真核生物からのnirK遺伝子の単離は初めての例である。一方近年のゲノム解析により多くのカビのゲノムが読まれているが、それらにnirKホモログが数多く見出される。細菌、アーケアと真核生物を併せたnirKおよびそのホモログの系統樹では、真核生物のものは全て同じクラスターに分離された。このことは真核生物nirKが同一起源(おそらくプロトミトコンドリア)であることを意味し、ミトコンドリアの起源と進化に関して新たな視点を投じた。フラボヘモグロビン(Fhb)は真核および原核微生物に普遍的に見出される融合タンパク質である。その生理機能として一酸化窒素(NO)ジオキシゲナーゼ(NO+02+e-→NO3-)活性が知られている。一方微生物一個体に複数のFhb遺伝子の見出される例も多く、Fhbの生理的意義が十分に理解されている訳ではない。我々は麹菌(Aspergillus oryzae)ゲノムにFhb遺伝子を二つ見出し、それらのクローニング、異種宿主での発現とタンパク質の精製、酵素活性の確認とcharacterization等を行った。さらに両遺伝子の発現条件の検索や遺伝子破壊の影響などを検討し、これら2種のFhbの細胞内局在、生理機能などを明示、あるいは推定した。カビの共脱窒現象の解明も進め、それが化学反応ではない、生物反応によることを示した。さらにcell-freeの活性も再構成できた。カビ脱窒にNO還元酵素(Nor)として関わるシトクロムP450norは、Nor活性以外に共脱窒活性やNADH-ペルオキシダーゼ活性(NPO)を示す(未発表)多機能解毒酵素である。このNPO活性の反応機構について詳細な検討を行い、新たなペルオキシダーゼ反応機構の存在を明らかにした(投稿予定)。放線菌は絶対好気性の生き物であるとほとんどの専門家は信じている。そのような状況下で我々は放線菌に脱窒を行うものの存在を示した。これと相前後してゲノムの解かれた放線菌Streptomyes coelicolorこ脱窒や硝酸呼吸に関わる硝酸還元酵素(dNaR)ホモログ遺伝子が3種類も存在することが明らかとなっている。また我々は有機態窒素が放線菌により亜硝酸変換される興味深い現象を見出している。S.coelicolorの3種のdNaRホモログの発現解析や遺伝子破壊の結果から、dNaRと亜硝酸生産の関連性を明らかにした。廃水処理の過程で強力な温室効果ガスである亜酸化窒素(N20)の発生することはよく知られている。その主要な原因の一つが、硝化細菌(アンモニア酸化細菌)による脱窒であることを初めて明らかにした。好気脱窒(酸素分圧があってもN20を放出しない)細菌として知られるPseudomonas stutzeri TR2株の脱窒特性を詳細に検討し、脱窒エキスパートというべき性質を明らかにした。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Cloning and characterization of two flavohemoglobins from Aspergillus oryzae2009

    • 著者名/発表者名
      S. Zhou, S. Fushinobu, Y. Nakanishi, S.-W. Kim, T. Wakagi, and H. Shoun
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Comm. 381(1)

      ページ: 7-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Eukaryotic nirK genes encoding copper?containing nitrite reductase: originating from the protomitochondrion?2009

    • 著者名/発表者名
      S -W. Kim, S. Fushinobu, S. Zhou, T. Wakagi, and H. Shoun
    • 雑誌名

      Appl. Environ. Microbiol. (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 放線菌由来フラボヘモグロビンパラログに関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      ○加藤慶一、池田宗一郎、吉本明弘、黒木進吾、矢嶋俊介、池田治夫、大澤貫寿、祥雲弘文、佐々木康幸
    • 学会等名
      日本農芸化学会2009年度大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 消化汚泥からの亜酸化窒素(N20)発生要因の解明2009

    • 著者名/発表者名
      ○金尚完、宮原盛雄、伏信進矢、渡辺昭、若木高善、祥雲弘文
    • 学会等名
      日本農芸化学会2009年度大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 好気脱窒菌Peseudomonas stutzeriTR2株のN20発生抑止メカニズム2009

    • 著者名/発表者名
      ○宮原盛雄、金尚完、山田剛史、伏信進矢、渡辺昭、遠藤銀朗、若木高善、祥雲弘文
    • 学会等名
      日本農芸化学会2009年度大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 放線菌における新規窒素代謝系の解析2009

    • 著者名/発表者名
      ○佐々木康幸、森谷健太、高谷直樹、山崎良、矢嶋俊介、大澤貫寿、祥雲弘文
    • 学会等名
      日本農芸化学会2009年度大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 多機能酵素シトクロムP450nor2009

    • 著者名/発表者名
      ○祥雲弘文、伏信進矢、若木高善
    • 学会等名
      日本農芸化学会2009年度大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 脱窒真菌Fusarium oxysporumのnirK遺伝子2008

    • 著者名/発表者名
      金尚完、伏信進矢、若木高善、○祥雲弘文
    • 学会等名
      第24回日本微生物生態学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2008-11-26
  • [学会発表] 脱窒真菌Fusarium solaniによる共脱窒の解析2008

    • 著者名/発表者名
      ○江黎、伏信進矢、若木高善、祥雲弘文
    • 学会等名
      第24回日本微生物生態学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2008-11-26
  • [学会発表] 真菌Cylindrocarpon tonkineseの脱窒条件において誘導される遺伝子2008

    • 著者名/発表者名
      ○金尚完、伏信進矢、若木高善、祥雲弘文
    • 学会等名
      第24回日本微生物生態学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2008-11-26
  • [学会発表] 糸状菌Aspergillus oryzsaeにおける二つFlavohemoglobinの機能解析2008

    • 著者名/発表者名
      ○周勝敏、中西義人、金尚完、伏信進矢、若木高善、祥雲弘文q
    • 学会等名
      第24回日本微生物生態学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2008-11-26

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi