研究概要 |
1. センサーPhoQに対するコネクターSafAの作用機構:PhoQ, SafAを過剰発現させた大腸菌の膜画分を用いた測定より、SafAはPhoQの自己リン酸化能を活性化することで、PhoQ/PhoP系を活性化させた。この活性化には、SafAのR53とPhoQのD179, K186が重要であり、この領域がMgの結合領域とは異なることから、SafAがMgとは独立して、PhoQを活性化することが明らかになった。さらに、NMR解析の結果、SafAは低pHシグナルとも独立してPhoQを活性化したが、低pHやSafAによって影響を受けるPhoQのアミノ酸残基に共通したものが複数存在した。この共通した残基がPhoQの活性化に重要な領域であることが示唆された。2.センサーEvgSの活性化機構:EvgSの活性化シグナル(低pH, 高濃度の一価の陽イオン)を認識する領域を推定するため、EvgS-PhoQのキメラタンパク質を作成した結果、EvgSのペリプラズム領域がシグナルの認識に重要であり、低pHの認識には膜貫通領域と二量体化領域の間のリンカー領域も必要であることが明らかになった。3. TCS間を制御する新規遺伝子のスクリーニングと解析:新規コネクター候補70と大腸菌ヒスチジンキナーゼセンサー29個との相互作用をbacterial two-hybrid assayで検討した結果、25 組の組み合わせで相互作用が認められた。このうち11組がセンサーEnvZとの相互作用であった。また、1つのコネクター候補が3種のセンサーと相互作用を示す場合もあり、より複雑なネットワークが予想された。レポーターアッセイの結果、YigFがEnvZを抑制し、YbdJが活性化した。さらに、YigFの発現は高濃度のNaClで誘導がかかるため、新規コネクターである可能性が示唆された。
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