研究概要 |
第2年度の5名の成果は以下の通り。 ○H-4-IIE細胞で全アミノ酸とArg単独添加による遺伝子変化のタイムコースを検討した。その結果、オートファジー関連遺伝子群は3-5時間で効果が認められ、これはオートファジー調節タンパク質LC3の細胞質での誘導抑制20-30分と異なるタイムコースであり、アミノ酸のオートファジー調節には二重の仕組みが作動していた(門脇基二)。○HepG2細胞をLys,Thr,Met欠乏培地で3,12時間処理し、遺伝子発現プロファイルを解析したところ、GCN2経路遺伝子の共通な変化、Met欠乏に特異的なメチル基転移経路の変化などが見出された。プロテオーム解析では、酸化ストレス応答、プロテアソーム系の変化が目立っていた。PEPCK2はLys,Thr欠乏においても量が増加するタンパク質として同定された(加藤久典)。○Ile経口投与による肝臓PEPCK遺伝子の発現抑制を制御するpathwayとして予想された遺伝子を定量PCR法を用いて解析した。その結果、Ile投与によりこれらの発現はPEPCK遺伝子発現を抑制した。また、IleおよびLeu投与による肝臓遺伝子発現変化を比較した結果、糖新生関連遺伝子に違いが見られた(吉澤史昭)。○ラットにTau添加食を与え、肝臓RNAのマイクロアレイ解析を行い、バイオファンクション解析、パスウェイ解析、ネットワーク解析を行った。その結果、脂質代謝、糖質代謝、薬物代謝の変動が確認され、その作用はNROB2経路によって制御されることが判明した(小田裕昭)。○Ser欠乏で惹起される細胞応答と分子機序解明を目指し、昨年度樹立した胚性線維芽細胞(KO-MEF)を用いて遺伝子発現解析を行った。Phgdh KOマウス組織で観察された主要な遺伝子変化はSer制限条件下のKO-MEFで再現されていた。マイクロアレイ解析により全ゲノムスケールで検討したところ、転写、細胞増殖制御、ストレス応答、糖質代謝、脂質代謝、およびそれら制御に関連する遺伝子ネットワークが同定され、個別遺伝子についてもSerによって発現が調節されていた(古屋茂樹)。
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