研究分担者 |
鈴木 雅一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144346)
山崎 剛 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80220317)
熊谷 朝臣 名古屋大学, 地球水循環センター, 准教授 (50304770)
兒玉 裕二 大学共同利用機関法人国立極地研究所, 准教授 (70186708)
小谷 亜由美 名古屋大学, 生命科学研究科, 助教 (80447242)
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研究概要 |
平成23年度は最終年度にあたるため,北方林,温帯林,熱帯林の3地域を対象としたまとめに入った.そして,12月にはまとめの意味を持つ研究集会が開かれた.各チームの現況は以下の通りである. 【研究課題1】:対象とした北方林,温帯林,熱帯林の9地点での潜熱輸送量,顕熱輸送量,二酸化炭素輸送量ならびに気象要素の経時変化を示した.対象が北にゆくほど植物の生長期間が限られており,各輸送量,気象環境の振る舞いが異なることが示された.【研究課題2】:本研究課題で対象とした熱帯林と北方林では,異なる現象が生じた.熱帯林では干ばつ化が生じ,他方北方林では湿潤化が進んでいる.そして,個体レベルでいるとそれぞれで応答特性が異なり,応答特性による比較研究を進める事が課題となった.【研究課題3】:研究課題3では北方林から熱帯林まで17林分(本研究の9林分を含む)の,表面コンダクタンスと空気力学的コンダクタンスの分布特性に関して調べた.表面コンダクタンスは飽差との関係が,空気力学的コンダクタンスは葉面積指数との関係が強かった.また,表面コンダクタンスは土壌水分量(0-20cm)が10%以下,あるいは40%以上になると,モデルの土壌水分関数を改良することが今後の課題である.【研究課題4】:対象サイトにおいて,運動量と顕熱の輸送特性はサイト間で類似する相似関係が保たれたが,CO2や水蒸気輸送特性はサイト間で異なる関係がみられた.さらにフラックスの季節変化に伴い相似関係が変化することが分かった.【研究課題5】:タイ熱帯常緑林とシベリア北方林に陸面過程モデルを適用し,水・エネルギー収支の季節変化をシミュレーションした.共通の気孔パラメータで北方林,熱帯林とも季節変化を大まかに再現できた.しかし,熱帯林の乾季については,土壌深部からの水分供給に対応するモデル表現が必要となった. 上記のように,各研究課題において重要な部分が明らかにされつつある.
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