研究課題/領域番号 |
20248019
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西尾 嘉之 京都大学, 農学研究科, 教授 (00156043)
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研究分担者 |
木村 恒久 京都大学, 農学研究科, 教授 (40264593)
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キーワード | セルロース / 多糖類 / 誘導体 / グラフト共重合体 / 液晶 / メゾスコピック系 / ナノ材料 / モダン機能 |
研究概要 |
セルロース系多糖の新規誘導体、グラフト共重合体、および液晶を主対象として、ナノ〜メゾ領域の構造制御とモダン機能の開拓を行い、以下の成果を得た。 1.ヘテロ元素含有新規誘導体 セルロースアセテート(CA)を出発に、側鎖末端に易架橋性のメルカプト基を有するエステル誘導体を調製し、酸化還元処理によってゾル-ゲル可逆転移を示すゲル材料および形状記憶-回復するフィルム材料を設計・試作しえた。また、セルロースプロピオネートを出発に、リン酸エステル基を側鎖導入した各種誘導体を調製し熱重量分析を行った。難燃性材料あるいは難燃化剤としての有用性を例示しえた。 2.グラフト共重合体 CA並びにセルロースブチレート(CB)を幹鎖とし易生分解性のポリカプロラクトンを枝鎖とするグラフト共重合体を幅広い組成に渡って合成した。共重合組成と熱物性の相関、結晶化挙動と高次構造の発達に及ぼす幹/枝鎖間の相溶性の効果、および酵素加水分解挙動についてデータ集積を行い、両グラフト系とも成形加工性を備えた新規生分解性材料となりうることを示した。 3.液晶 (1)分子性液晶:ヒドロキシプロピルセルロース/水系液晶に各種イミダゾリウム塩を共存させ、コレステリック周期構造とLCST相分離温度に及ぼすカチオン種と対アニオンの効果を系統的に分離評価した。液晶の呈色や白濁度は共存イオンの種類と濃度によって容易に制御しうることとなった。一方、アミノ多糖キトサンのフェニルカルバメート誘導体を高置換度で合成し、ジメチルホルムアミドなどの高極性溶媒中における液晶相挙動を明らかにした。コレステリック構造の整然さ、引いては選択反射色の鮮明度は、フェニルカルバモイル基の平均連鎖長に鋭敏に依存することが判明した。 (2)ナノクリスタルの液晶:セルロース繊維を硫酸処理して得られたナノクリスタル(ミクロフィブリル)を重合性モノマー中に懸濁させ、UV光照射によって異方性相を重合マトリックス内に固定化することに成功した。次年度に向けて、異方性相を磁場配向させて固定化するための装置の試作も行った。
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