研究課題
本年度の研究は、深海および沿岸熱水環境から水素を生産するヒドロゲナーゼまたは二酸化炭素を還元するCOデヒドロゲナーゼ活性を有する好熱菌を分離し、分離株の性状解析並びに酵素活性の検出・精製を目的としている。今年度の成果は以下の通りである。深海熱水孔由来の超好熱古細菌Aeropyrum caminiのゲノム解析を行った。両者のゲノムは配列とその並びともに高度に保存されていた。両者のヒドロゲナーゼは、88%の相同性を示し、性状における大きな差異は認められなかった。両者のゲノムの差異は主にウイルスの関与する遺伝子の有無によるものであり、本属古細菌のゲノム進化にウイルスが深く関与すると考えられた。昨年度までに分離した水素生成資化性好熱菌Ug1株について、COデヒドロゲナーゼ(CODH)遺伝子を解析した。5つのCODHを有する最近縁種Carboxydothermus hydrogenoformansと異なり、本菌は水素生産に関与すると予測されるCODHIを欠き、4つを有していた。このように、本菌による水素生成はCODHIとは異なる系路が関与していることを示した。Carboxydothermus属において5つ存在するCOデヒドロゲナーゼ(CODHI~V)のうち、機能未知であるCODH Vの性状を組換え体を用いて解析した。CODH Vでは活性中心に配位するアミノ酸残基の1つ(Glu295)が、他のCODH (Cys295)と異なっていた。CODH VはCODH IIと比べCO酸化活性が低く、NH2OHに対して高い酸化活性を示した。CODH Vに [Fe-S]クラスターに特異的な吸光が認められたものの、その波形はCODHIIと異なっていたことから、異なる金属配位を有すると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 63 ページ: 印刷中のため未定
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