研究概要 |
本年度は,管剛性が等しく管厚が異なる大口径パイプの埋設挙動を明らかにするため,当初より計画されていたとおり,米国コロンビア大学所有の遠心力載荷装置を用いて,埋設実験を遂行した. 供試管はφ130のアルミ管,ナイロン管ならびに低密度ポリエチレン管である.これらの供試管を3種類の異なる地盤条件で埋戻した計9ケースの遠心力載荷模型実験を行い,管のたわみ量,管頂部周辺土圧,曲げひずみ分布および軸応力分布から,大口径管の埋設挙動について検討した。 その結果,アルミ管,ナイロン管では,埋戻し過程において側圧の影響を受けて管は縦長に変形し,土被りが増加するにつれて縦長変形が緩和されるという変形挙動を示した.しかしながら,重力加速度が増加した場合,アルミ管とナイロン管を比較すると,管厚の薄いアルミ管のほうが縦長変形が顕著である.このことから,大口径管においては管厚の薄い管ほど,埋戻しによる側圧の影響を受けやすいと考えられる. また,軸応力分布においては,管厚の薄い管において大きく不均一な軸応力が発生することが確認され,大口径管においてその傾向が顕著であるということが明らかになった.支床上に管を設置したケースでは,支床により管の変形が抑制されることから,管厚の薄い管における軸応力の不均一性が緩和されることが明らかになった.しかしながら,支床と地盤との境界部に大きな圧縮応力が発生していることから,管厚の薄い管においては,周辺地盤剛性の急変する位置に応力集中が生じる傾向にあると考えられる.管底部にアングルを設置したケースにおいては,アルミ管の管底部に大きな軸応力が発生し,大口径になるほど発生する軸応力が卓越することが明らかとなった.一方で,ナイロン管にはアングルによる軸応力への変化は見られなかった.このことから,管厚の薄い管においては地盤内の異物の影響を受けやすく,応力集中を起こしやすいという傾向があることが明らかとなった.
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