研究課題/領域番号 |
20248027
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野口 伸 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40228309)
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研究分担者 |
山田 浩之 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (10374620)
石井 一暢 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70301009)
海津 裕 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70313070)
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キーワード | 農業生産環境 / リモートセンシング / 自律ボート / GIS / 衛星画像 |
研究概要 |
今年度は湖沼水質に影響を与える周辺地域の土地利用現況を衛星リモートセンシングにより高精度に自動的に分類できる手法をK-meansを用いて開発した。SPOT5の衛星画像を使用して,湖沼,小麦畑,水田,大豆畑,遊休地,その他(道路,建物など)を93%の精度で分類できた。また,湖沼を様々なリモートセンシングプラットフォームを用いて,正確なデータを取得し,GIS上で面的に管理,分析を行う方法論を考案した。プラットフォームとして産業用無人ヘリコプタを改造して,分光放射計によって反射率データを取得した。また,湖水や湖底の泥の巻き上がりの少ない自律型水質観測ロボットボートでは水質計などを搭載し,水質データを取得して面的な水質マップの作成に成功した。これらのプラットフォームで取得したデータをすべてGISに取り込み,同一測度で面的に管理・分析できるようにした。また,反射率データと水質データセットから,重回帰分析とPLS回帰分析を行い,水質推定モデルの作成を行った。その結果,重回帰分析による2011年5月23日取得したpHのモデル精度は,RMSEPが0.24となり,推定精度は高くなったが,クロロフィルaの推定精度はRMSEPが10.78ug/Lとなり,精度の良好なモデルは生成できなかった。他方,PLS回帰分析による推定モデルでは,pHにおいてはRMSEP0.13となり推定精度は向上し,クロロフィルaについても決定係数R2は0.85を示した。ヘリコプタのよる低空リモートセンシングで,pHとクロロフィルaは推定できる可能性が示された。また,複数のプラットフォームの特徴を生かしたマルチリモートセンシングの有効性も明らかになった。宮島沼を対象にロボットボートを用いて水質空間分布を定期的に調査した結果,代掻きや灌漑用水の流入時期に湖沼の水質が悪化するなど,農事に対応して空間分布が変化することが分かった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたリモートセンシング,自律ボート開発,水質モデリングなど順調に研究は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
現在,湖沼の物質収支モデルの構築を進めている。このモデルを用いて湖沼水質の定量的・定性的な評価を行い,本研究の最終目標である環境回復策の提案を行う。
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