研究概要 |
医薬品や生物活性天然有機化合物などの有用な有機化合物の構造上の特徴は、合成の食指を興奮させる骨格と複数の不斉炭素を持つ光学活性体が多い点である。これら生物活性低分子化合物の不斉炭素に直結する原子は、炭素、窒素、酸素、硫黄原子と多彩である。しかしながら、これら四大原子反応剤の不斉反応を、共通概念を基盤とした制御剤を用いて可能にした研究は極めて少ない。本研究では、これら四大原子を反応点とする反応剤とプロキラル炭素原子との不斉的な結合形成反応を可能にする、共通概念の構築を目的とする。平成20年度は以下の成果をあげた。 1.キラルジエーテル配位子制御によるリチウムエステルエノラートのα,β-不飽和エステルへの不斉Michael反応を検討した。リチウムエノラート、ジエーテル配位子、リチウムアミドを共存させるとエノラートは極めて高い反応性・立体選択性を示すことを明らかにした。 2.キラルカルベン-銅触媒によるGrignard反応剤の3位置換型シクロヘキサノンへの1,4-付加反応を利用した不斉4級炭素構築法を開発した。 3.N-アリルアミノアルケンのアミノリチオ化-カルボリチオ化連続環化反応を開発した。 4.アミノボスファン-銅錯体による不斉アリル位アリール化反応を開発した。 5.ジメチル亜鉛を開始剤とするTHFラジカルのα,β-不飽和イミンへの共役付加反応を開発した。 6.ジメチル亜鉛を開始剤とするエーテルラジカルのアルキリデンマロネートへの官能基選択的共役付加反応を開発した。
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