研究課題/領域番号 |
20249006
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (50173159)
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研究分担者 |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (40347422)
加藤 信樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (50400221)
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キーワード | 化学平衡 / 動的コンビケム / ホスト-ゲスト / アルツハイマー病 / ペプチド / 創薬化学 / 抗マラリア / 超分子 |
研究概要 |
化学平衡を利用して標的分子に対して自動的・経時的に親和性化合物を構築する「化学進化的合成化学」の実証に関し、平成23年度は以下のような研究成果を挙げた。 まず、scaffoldであるトリアルデヒド体BB-4の可変部位となる、ヒドラジドをさらに合成し、16種類まで増加させた。このため、それとトリアルデヒドが反応して生成し得るトリアシルヒドラゾンの種類は252種類となった。この平衡反応系に、標的分子としてβ-アミロイドの部分構造であるKLVFFや、小分子であるウラシル等を用いて、標的分子の有無によるHPLCパターンの違いを比較した。多数のピークを分離して観測が行えるようにするために、HPLCの溶媒の種類やグラジエントの組み方にかなりの検討が必要であった。見出した分離の良い条件でパターンを比較したところ、大きな差異は見られなかったものの、ある程度の差異は検出された。標的分子の存在により増加したピークに対応する生成物の単離同定を現在試みている。 次に、今年度は新しい取組として、これまでscaffoldとして用いてきたトリアルデヒド体BB-4を、平衡反応を利用して超分子構築のための素子としても用いることとした。平衡反応によってエネルギー的に安定な一定の超分子構造に収束することを狙い、2つのアニリンをm-ジエチニルベンゼンで結合させたジアミンとBB-4をイミン平衡反応を起こさせると、経時的にバレル型の超分子構造に収束することが明らかになった。単離収率が45%で、ジアミン3分子とトリアルデヒド2分子が6カ所で脱水縮合した球状分子が得られた。この分子は、分子軌道計算による構造最適化を行った結果では、フラーレンC_<60>を内包するのにちょうどよい空隙を有していることがわかったため、C_<60>共存下に様々な条件で平衡反応を行った。現在までのところ、C_<60>を内包したものは得られていないが、得られることにより、C_<60>を輸送するなどドラッグデリバリーシステムに本ケージ化合物は応用できると考えている。
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