研究課題/領域番号 |
20249008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
林 久允 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10451858)
熊谷 雄治 北里大学, 医学部, 准教授 (40215017)
諏訪 俊男 慶応義塾大学, 薬学部, 教授 (20383664)
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キーワード | プローブ薬 / 薬物トランスポーター / 薬物間相互作用 / ヒト肝細胞 / ヒト腎スライス / シメチジン / MATEs / OATP |
研究概要 |
本研究では、ヒトin vivoでトランスポーター機能を定量的に評価しうるプローブ薬探索と、それを用いた定量的な薬物動態予測法の開発を目的とした研究を進めてきた。本年度は、プローブ阻害剤のin vivoにおける効果を予測することを目指して、薬物間相互作用の簡便な予測法について検討した。既知のOATPトランスポーターを介した相互作用と考えられる臨床報告の情報を収集し、それを阻害剤の最大血中非結合型濃度一定とみなして計算した阻害率から、血中濃度上昇を予測することを試み、あわせてその折の仮説の妥当性について検証した。その結果、false-negativeを避けた予測を行うには、消化管アベイラビリティの阻害による上昇の考慮、肝臓入口の最大非結合型阻害剤濃度の利用、取り込み+排泄/代謝の両過程の最大の阻害率の乗算の実施が有効であることを示した。また、一方、取り込み阻害だけを考慮した場合では、若干false-negativeな予測は増えるが、予測精度としては、むしろ高く、このことから、OATP基質が絡む薬物間相互作用は、主に取り込み過程の阻害を考えることが重要であることが示唆できた。 さらに、プローブ薬のin vitro薬物動態評価法として、ヒト肝細胞・ヒト腎スライスを用いることで、ヒトにおけるトランスポーター基質薬物の肝・腎クリアランスを良好に予測可能であることを示した。さらに、腎カチオントランスポーターのプローブ阻害剤として知られているcimetidineが、従来OCT2による腎取り込み過程の阻害と考えられてきたが、in vitro実験の結果と臨床濃度を考察したところ、OCT2の阻害は臨床ではおこし得ず、一方腎排泄トランスポーターMATEsの阻害は臨床濃度で起こることから、cimetidineは、これまでの常識とは異なり、MATE阻害剤として働き、カチオン性薬物と相互作用することが明らかとなった。
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