研究概要 |
1. 視交叉上核振動体における入力系および出力系振動機構の解明 (1) 極端な明暗サイクル(LD2:22)に長期間暴露したマウスから視交叉上核を採取し、in vitroでPer1遺伝子発現リズムを解析した。その結果、極端な光周期下では行動リズムがスプリットし、光周期に同調したリズム要素と、脱同調したリズムが観察され、2つのリズム要素に対応したPer1遺伝子発現リズムを同定した。また、光周期に反応する2振動体の位相反応曲線を推測した! (2) 長日(LD18:6)及び短日(LD6:18)に同調したラットの視交叉上核Per1, Per2遺伝子発現リズムを視交叉上核部位別に網羅的に解析した。その結果、行動リズムの日長変化に対応した変化がPer1遺伝子発現リズムには顕著に認められた、Per2遺伝子発現リズムは対応が弱かった。光周期への同調において、君arm遺伝子とPer2遺伝子の機能差が示唆された。 2. 行動リズムを駆動する末梢時計の局在と振動機構の解明 (1) 行動リズムが脱同調するメタンフェタミン(MAP)慢性投与マウスから得られた脳を対象に、Per1遺伝子発現リズムを部位別に解析し、MAPによる行動リズムの変化と対応する脳部位を検索した。その結果、中脳の特定神経核の遺伝子発現リズムが、視交叉上核リズムよりもむしろ行動リズムと対応して変動していることを見出し、行動リズムを駆動する末梢時計である可能性を示した。 (2) 明暗サイクルの位相変位の際に、特定位相にマウスを新規環境に暴露すると、直ちには追従しない行動リズムの再同調が促進された。この結果は、行動リズムを駆動する末梢時計が光以外の環境因子に反応することを示唆している。
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