研究課題/領域番号 |
20249012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
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研究分担者 |
稲野辺 厚 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70314317)
村上 慎吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40437314)
古谷 和春 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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キーワード | カリウムイオンチャネル / 薬物-チャネル相互作用 / 抗鬱薬 / 抗不整脈薬 / 構造活性相関 / 電気生理学的解析 |
研究概要 |
本研究の目的は、薬物による内向き整流性カリウムチャネル(以下、Kirチャネル)およびhERGチャネル機能制御の構造基盤を明らかとすることである。種々の抗鬱薬(fluoxetineなど)はグリア細胞に発現するKir4.1チャネルを阻害する。この薬物作用の基盤となる薬物-チャネル相互作用を解析した。変異チャネルを用いた解析により、Kir4.1のcentral cavity内に分布するアミノ酸の薬物相互作用への関与が示唆された。薬物のファーマコフォア解析により、Kir4。1阻害薬に共通した構造的特徴として疎水性と正電荷の帯電性が示された。さらにドッキングシミュレーションにより、薬物がKir4.1のcentral cavity内に納まる相互作用モデルを提唱した。これらの研究成果は薬物によるKirチャネル阻害機構の理解を進める。 一方、第III群抗不整脈薬として現在臨床利用されているnifekalant、 amiodaroneなどは、hERGの電流量を抑制(プロック)するとともに、深い膜電位で電流量を増加させる。後者の現象は脱分極刺激によって惹起され、ファシリテーションと呼ばれる。このブロックとファシリテーションの機構を解析した。各薬物存在下に、強い脱分極電位パルスを与えると最大電流量は変化せず、活性化曲線が左方ヘシフトした。そのシフトの程度は薬物濃度によらず一定であった。即ち、ある濃度の薬物作用下のhERGチャネル電流は、コントロールの電位依存性をもつhERG電流成分とファシリテーションの特牲を持つ電流成分の和で表現された。薬物によるブロックおよびファシリテーションに関与するアミノ酸はhERGのcentral cavity内に分布することを既に報告している。従って、これら2つの薬理作用は2つの異なる薬物-hERG相互作用に由来し、しかもその薬物-hERG相互作用間は遷移しないと推定された。
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