研究課題
骨組織や骨代謝における、核内受容体群の高次機能を明らかにする目的で、各種骨細胞種特異的受容体遺伝子破壊動物を作成、その骨変異を解析する。本年度では特に骨芽細胞での女性ホルモン受容体の高次機能を明らかにする目的で、ColIaプロモーターを用いたCreトランスジェニックマウスとfloxed ERαマウスとを掛け合わせることで、成熟骨芽細胞選択的ERα遺伝子破壊動物を作成した。この変異雌マウスでは、予想に反し骨量の減少は認められず、また骨形成や骨吸収も正常であった。このことから女性ホルモンの骨防御作用は、我々がすでに報告したように成熟破骨細胞に発現するERαを介した骨吸収の抑制による効果が大きいと考えられた。一方この変異雄マウスでは、有意な皮質骨部位での減少が認められた。また骨切片を作成し、骨吸収や骨形成能を調べたところ骨形成が有意に低下していることが見出された。そのことから,雄における女性ホルモンの骨防御作用は、破骨細胞でなく、骨芽細胞を主たる標的にすることがわかった。生理的には、雄マウスでは男性ホルモンの骨防御作用が有意であっても、局地的に産生される女性ホルモンが、骨芽細胞に対し作用することで、骨量増加を促すと考えられた。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature【掲載確定】 (in press)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106
ページ: 3818-3822
EMBO Rep. 9
ページ: 563-568