研究課題
骨組織や骨代謝における核内受容体群の高次機能を明らかにする目的で、各種骨細胞種特異的受容体遺伝子欠損動物を作製、その骨変異を解析する。本年度は特に、骨芽細胞特異的なエストロゲン受容体欠損マウスの解析と骨細胞特異的な核内受容体欠損マウスの作出に注力した。骨芽細胞特異的なエストロゲン受容体欠損マウスに関しては、昨年度、作出した欠損マウスの雄が骨形成と骨吸収が低下することによる低回転型の骨量減少を示すことを報告したが、さらなる詳細な解析を引き続き行なった。具体的には、精巣摘出後の性ホルモン(テストステロン)補充実験による骨量回復をDXA、骨形態計測により確認した。また、骨芽細胞におけるエストロゲン受容体の骨量維持機構の分子メカニズムを明らかにする目的で、骨芽細胞特異的エストロゲン受容体ノックアウトマウスと対照群でマイクロアレイ解析を行なった。その結果、発現変動を示した遺伝子をいくつか得た。現在、それら候補の遺伝子群の発現変動を定量的PCRなどにより確認し、さらにそれらの骨芽細胞での生理的意義を解析中である。また、骨細胞特異的なCreトランスジェニックマウス作出に関しては、本年度は、Dmp1プロモーターを用いたCreトランスジェニックマウスのキメラマウスの作出に成功した。具体的には、エレクトロポレーション法により遺伝子改変ベクターをES細胞にターゲティング後、サザンブロッティングにより相同組換えを確認し、4コロニーの相同組換え体を取得した。更に、得られた相同組換え体をアグリグージョン法によりマウスの卵巣に移植し、これまでに1個体のキメラマウスを取得した。現在、得られたキメラマウスと野生型マウスの交配を行い、染色体レベルでの相同組換えを確認している。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature 461
ページ: 1007-1012
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