研究課題
大腸炎とは異なる炎症病態への知見の拡大に成功した。動脈結紮による心筋梗塞-再還流モデルをTRPM2KOマウスに適用し、活性酸素種が深く関与する心筋細胞死へのTRPM2チャネルへの関与を用い調べた。野生型マウスに比較すると、本TRPM2ノックアウトマウスにおいては、顕著な心筋細胞死の減少が見られ、炎症性細胞の中でも、好中球浸潤の抑制が重要であることがわかってきた。ランゲルドルフ環流下、好中球を添加し心筋組織中への浸潤を調べたところ、特に、好中球の心血管への接着能の減少がこの表現型に大きな影響を与えていることが明らかとなった。ここで好中球の遊走因子として働くのはロイコトリエンB4であることも明らかとなった。また、TRPM2チャネルはCa^<2+>流入だけでなくリソソームからのCa^<2+>放出にも関与することが分かってきた。この過程は、マクロファージの細胞死の調節に関与することがわかったが、樹状細胞における分布を考慮するとそこでの重要性の方が高いことが予想される。この知見は、TRPM2の新たな機能的側面を示すものである。さらに、ストア依存性Ca^<2+>チャネルを形成するOraiタンパク質のシステイン残基の酸化修飾について我々の開発した活性ジスルフィドプローブを用いて解析したところ、特定のシステイン残基が酸化修飾をうけることもわかった。酸化修飾はチャネル活性はOraiによるストア依存性Ca^<2+>チャネル活性を減じることから、酸化修飾が免疫細胞の酸化ストレスを介した選択機構に関与していることが示唆された。
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