研究課題/領域番号 |
20249025
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
永田 恭介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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研究分担者 |
竹内 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (00192162)
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キーワード | ウイルス / 宿主因子 / 分子生物学 / ゲノム複製 / 転写 / RNA依存性RNAポリメラーゼ / インフルエンザウイルス / 酵母レプリコン系 |
研究概要 |
本研究の目的は、インフルエンザウイルスのゲノム複製と転写に関わる宿主因子を同定し、それらの機能を明らかにすることである。 我々が開発したインフルエンザウイルスゲノムの複製と転写を再現できる試験管内系を用い、生化学的手法を駆使して宿主因子の探索と機能解析を進めた。非感染HeLa細胞核抽出液よりウイルスゲノム複製反応を促進する宿主因子IREF(Influenza virus Replication Factor)-1/MCM (Minichromosome maintenance)複合体を同定した。インフルエンザウイルスvRNP複合体のみでは、ウイルスポリメラーゼは開始反応から伸長反応へ移行できなかったが、IREF-1/MCM複合体を添加することによってウイルスポリメラーゼはprocessiveなRNA合成反応型に変換され、全長のウイルスゲノムRNAが複製された。IREF-1/MCM複合体の標的はウイルスポリメラーゼPAサブユニットであった。ゲノム複製促進活性は、ウイルスNPにも見いだされた。この活性には、RNA結合能は関与しておらず、ウイルスポリメラーゼとの相互作用が重要であった。系統的な宿主因子の同定を目指して、遺伝学的な解析が可能な酵母を用いてでインフルエンザウイルスのゲノム複製が再現できる系を確立した。この系を用いて、インフルエンザウイルスRNA合成活性を促進する宿主因子kPrp18を新たに同定した。hPrp18は、NPがRNAに結合する際に、分子シャペロンとして機能することが明らかとなった。 インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのPB1とPB2の相互作用部位の結晶構造を明らかにした。この知見は新たなインフルエンザウイルス治療薬の開発に役立つものと考えられる。
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