研究課題/領域番号 |
20249038
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田中 恵太郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (50217022)
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研究分担者 |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
桧垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 講師 (90336115)
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (50530185)
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キーワード | 生活習慣病 / がん / 危険因子 / 防御因子 / 遺伝子 / 遺伝子環境交互作用 / コーホート研究 |
研究概要 |
本研究では、平成17~19年にベースライン調査に参加した佐賀市民約12000名を20年間にわたって追跡し、がんなどの生活習慣病の罹患・死亡に関わる生活習慣と遺伝要因(遺伝子多型)および遺伝子環境交互作用を明らかにして、日本人における生活習慣病の予防に資する事を目的とした。本年度は、まず平成18年度にベースライン調査に参加した佐賀市東部・南部在住の約5000名について、5年後の第二次調査を実施して約3500名の調査を完了し、前年度の調査と合わせて約4900名の第二次調査参加者を得た(参加率73%)。また、住民票照会により平成23年7月までの対象者の生存・異動状況を確認し、平成18年度のベースライン参加者(約5000名)および転出者(55名)についてはがん・循環器疾患・糖尿病・高血圧症の罹患状況を把握し、それぞれの疾患の詳細について医療機関への照会あるいは出張採録を行った。さらに、ベースライン調査に基づく横断研究で、1)低強度身体活動(3メッツ未満)がIL-15とTNF-αの低下と関連し、中強度身体活動(3-6メッツ)がTNF-αの低下と関連しており、炎症に抑制的に作用する可能性がある事、2)高強度身体活動(6.1メッツ以上)が男性において尿中8ヒドロキシデオキシグアノシン濃度(DNA酸化的損傷の指標)の低下と関連しており、内因性の抗酸化能力を高めて遺伝子損傷を抑える可能性がある事、3)食事パターンとしてパン食と強く相関するbread patternが中性脂肪の低下と関連しており、この関連はADR β3 Argアリル保持者においては観察されるが、Trp/Trp型の者においては観察されず、遺伝子環境交互作用を示す事、4)自覚ストレスが男性において高感度CRPの低下と関連しており、特に年齢が高い男性(56歳以上)においてその傾向が顕著である事、などを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した第二次調査、追跡調査および横断研究については、ほぼ当初の計画どおりに実施されており、研究全体としても順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるが、ベースライン調査参加者で第二次調査未実施の残り約5000名(佐賀市中央部・西部在住者)について第二次調査および追跡調査を実施する予定である。また、ベースライン調査データを用いた横断研究については論文化を進めると共に、ベースライン調査データと第二次調査データの両者を用いた縦断研究のための準備を進める予定である。
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