研究課題/領域番号 |
20249041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大内 尉義 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80168864)
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研究分担者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00261975)
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80282630)
飯島 勝矢 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00334384)
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20323579)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20431869)
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キーワード | 性差 / 老年症候群 / 性ホルモン / 長寿遺伝子 |
研究概要 |
1.老年疾患および老年症候群の発症、病態における性差とその機序の解明 認知症を呈する老化促進マウスSAMP8を解析し、海馬の老化と長寿遺伝子Sirt1の発現低下がみられ、それに精巣のライディッヒ細胞の老化とテストステロン分泌が関与することを解明した(論文投稿中)。臨床研究では、中年男性生活習慣病患者を対象に、メタボリックシンドロームと血清性ホルモン濃度との関連を解析し、テストステロン低値がメタボリックシンドローム、特に内蔵肥満と関連することを示した(Hypertens Res 2010)。さらに、中高年男性生活習慣病患者を追跡調査し、血清テストステロンの低下が独立した心血管疾患の発症リスクであることを報告した(Atherosclerosis 2010)。一方、軽度認知機能障害患者に対するアンドロゲン補充療法の効果を検討し、小規模ではあるが、男性ではテストステロン、女性ではdehydroepiandrosterone (DHEA)の投与により、非投与群に比べて有意な認知機能の改善効果を認めた(J Am Geriatr Soc 2010、Geriatr Gerontol Int 2010)。 2.老化の進行過程における性差の機序とその制御法の解明 血管の老化と性差に重要な形質である、内皮型NO合成酵素(eNOS)の活性と血管石灰化について性ホルモンの作用に関する研究を行った。アンドロゲン受容体は、eNOS、Sirt1、Caveolin-1などと結合しながらその機能修飾に関与することがわかった。血管平滑筋細胞の石灰化モデルでは、アンドロゲン受容体とエストロゲン受容体異なる機序で増殖因子Gas6の発現を制御し、両者とも石灰化抑制に作用することを明らかにした。全身の老化度を反映する指標として、末梢血単核球のテロメア長、Sirt1のmRNA発現をアッセイし、性ホルモンや動脈硬化、骨粗霧症、認知症、老年症候群との関連を示唆した。 3.性差医療の実態に関するアンケート調査 2,531病院に送付し、553病院から回答を得た。性差医療の体制不備が示され、今後取り組みが必要である。
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