研究課題
平成21年度の研究成果【総括】平成21年度は本研究の2年目であり、1年目において得られた知見に対し、再現性の確認と背景への科学的洞察とを得た年度となった。以下(1)により、負荷されたストレスをサイトカイン濃度を用いて判別可能である可能性、(2)により加齢がストレス特異的サイトカイン制御機構に影響する経路の一つ、(3)によって、慢性ストレスによる視床下部下垂体副腎軸のストレス応答パターンの形成にサイトカインが関与することがそれぞれ新たに見いだされ、検証された。機能分子を分泌するリンパ球のホーミング機構の解析によってこれら(1)-(3)が統合的に理解される可能性が期待される。(1)負荷されたストレスとサイトカイン類との相関パターンを示した。健常参加者に、運動ストレスまたは精神作業を負荷、血中サイトカイン濃度プロファイルが、負荷されたストレスと対応関係があることを明らかにした。サイトカイン応答には負荷に対する特異性があることを示した(成果の一部は国際ストレス学発表予定。)(2)老齢NADPHオキシダーゼタイプ2(NOX2)のストレス下の役割を示した。当該遺伝子欠損マウス、78,84,90週齢各8匹にストレスを負荷し、血中サイトカイン、ケモカイン、分泌型因子、非分泌型因子を測定、老齢野生型マウスと比較した。好中球活性酸素発生酵素であるNOX2が、老齢マウスにおいて、ストレス時に非分泌型因子の血中レベル上昇に関与する事を見いだした(未発表)。(3)慢性ストレス下での脳内グルココルチコイドレセプター発現レベルに対するサイトカインの作用を解明。慢性ストレスによる脳内グルココルチコイドレセプターの発現、タンパクレベル抑制に関与する特定のサイトカインを同定した。同レセプターの減少はうつ病の発症機構と考えられていることから、本発見は、うつ病発症予防のための基盤的知見となる可能性がある。
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