研究概要 |
1.WNKキナーゼの生理的制御因子を探索した。 (1)腎臓でのNaCl出納調節に重要な役割を有しているアンギオテンシンIIが直接WNK-OSR1/SPAK-NCC系に与える影響を細胞培養系、マウスにおいて検討した。その結果、Na-Cl共輸送体(NCC)を内因性に発現するマウス遠位尿細管由来細胞mpkDCTにおいて、アンギオテンシンIIは濃度依存性にOSR1をリン酸化したが、この効果は一過性であった。マウスでのアンギオテンシンII投与実験では、OSR1-NCCのリン酸化に、急性、慢性ともに効果を認めたが、慢性効果はアルドステロン阻害薬でもその効果は遮断され、アンギオテンシンIIによる生体内での効果は、すでに我々が明らかにしたアルドステロンを介した効果が主であると判明した。 (2)WNKキナーゼ活性は、培養細胞系において低浸透圧刺激で活性化されることが判明している。しかしながら,その過程におけるWNKキナーゼの真の刺激因子は不明であった。今回、低浸透圧溶液の組成を細かく解析し、低浸透圧自体よりも低KがWNK1キナーゼの刺激因子となっていることを明らかにした。また逆に細胞外の高KがWNK1キナーゼ活性を低下させる事も判明した。 (3)バゾプレシンが生体内でNCCのリン酸化を制御していることを明らかにした。 2.生体内におけるWNK-OSR1/SPAK-NCC系の役割を検討した。 (1)偽性低アルドステロン症II型モデルマウスにおいて高Ca尿症の原因は、細胞外液上昇による近位尿細管でのCa再吸少量の減少が原因であることを明らかにした。 (2)SPAKノックアウトマウスを作成し、血圧低下をきたすことを明らかにした。
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