研究課題
534名のパーキンソン病症例および544名のコントロール例を対象として、Gaucher病の病因遺伝子であるglucocerebrosidase遺伝子(GBA)について、全エクソン、スプライス部位の網羅的なresequencingを行った。その結果、Gaucher病の発症に関与するGBAのヘテロ接合性変異の頻度(11種類の変異)が、パーキンソン病症例において有意に高値であることを見出した(パーキンソン病症例:9.4%、コントロール:0.37%、オッズ比:28.0、95%CI:4.3-238.3)。一方、Gaucher病の発症に関与しない変異については、パーキンソン病群,コントロール群でその頻度に有意差はなかった。さらに、GBA変異を有するパーキンソン病の多発家系(8家系)を見出し、これらの多発家系において、GBA変異が発症者問で、すべて共有されていることを見出した。さらに、GBA変異を有するパーキンソン病症例の平均発症年齢が52.5±7.4、GBA変異を有していないパーキンソン病症例の平均発症年齢が58.8±10.7と、有意に発症年齢が若年化することを見出した。このヘテロ接合性変異が、どのような機序をパーキンソン病発症に関与するかを明らかにすることを目的に、日本人パーキンソン病症例で頻度の高い変異(L444P,R210W)に着目して、トランスジェニックマウスの作成を進めた、L444P、R210Wを発現するfounderを得ることができ、今後、繁殖を進め、パーキンソン病の病態生理に関する生化学的な解析を進める予定である。
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Arch Neurol(in press)