研究課題
関節リウマチ(Rheumatoid arthritis;RA)は、自己免疫応答と滑膜細胞増殖との2つの側面を持つ。前者はこれまで広く研究がなされてきたが、後者に関してはほとんど解明されていなかった。そこで、我々は滑膜細胞増殖機構を明らかにすべく研究を行い、世界で初めて滑膜細胞にちなんだ遺伝子のクローニングに成功しシノビオリンと命名した(HUGO GenBank ID:AB024690)。E3ユビキチンリガーゼであるシノビオリンはRA滑膜細胞に過剰発現し、過剰発現マウスは関節症をきたす。また、マウスでのシノビオリンの欠損はアポトーシスの亢進による胎生致死をもたらす。これらのことからシノビオリンの発現量は恒常性の維持とRA発症を考える上で重要である。すでに、シノビオリンの生理学的な発現はEts binding siteを介したGA binding protein(GABP)α/β複合体により制御されることをこれまでに明らかとしていた(MCB 2005)。今年度はRA滑膜細胞における病態特異的なシノビオリンの発現制御を明らかにすることを目的としてRA滑膜細胞特異的にシノビオリンプロモーターに結合するタンパク質複合体の生化学的精製・同定を進めた。その結果、T細胞でのIL2の転写制御にかかわるとされていたILF3がGABPαと複合体形成を成すことが明らかとなった。この発見はRAの自己免疫的側面と滑膜細胞増殖を同一分子で説明できる可能性があり興味深いと考えている。
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