研究課題
関節リウマチ(Rheumatoid arthritis ; RA)は、自己免疫応答と滑膜細胞増殖との2つの側面を持つ。前者はこれまで広く研究がなされてきたが、後者に関してはほとんど解明されていなかった。そこで、我々は滑膜細胞増殖機構を明らかにすべく研究を行い、世界で初めて滑膜細胞にちなんだ遺伝子のクローニングに成功しシノビオリンと命名した(HUGO GenBank ID : AB024690)。E3ユビキチンリガーゼであるシノビオリンはRA滑膜細胞に過剰発現し、その過剰発現マウスは関節症をきたす(Genes Deve 2003)。一方、マウスでのシノビオリンの完全欠損はアポトーシスの亢進による胎生致死をもたらす(JBC 2005)。これらのことからシノビオリンは生体の恒常性の維持とRA発症を考える上で重要であると考えられる。これまで、分子生物学的手法と遺伝子改変動物をもちいた手法によりシノビオリンの有する生物学的活性を検証してきた。今年度は1)シノビオリンノックアウトマウス由来のマウス胎児由来線維芽細胞に種々の人工基質を強発現させる実験系を用い、小胞体内では膜結合型と溶解型の基質に対して選択的にユビキチン化酵素群が複合体を形成していること。中でもシノビオリンは溶解型の基質に対して中心的な役割を成すことについて初めて明らかとした(JCB、2010)。また、同様にシノビオリンノックアウトマウス由来のマウス胎児由来線維芽細胞とヘテロノックアウトマウスを用い2)RAの最終像である線維化に同分子が深く関与することを見出した(論文投稿中)。これらの知見によりシノビオリンの生命科学と医学の両面での作用がより一層、理解されることが期待される。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
J Cell Biol 188
ページ: 2223-2235
FEBS Journal 6
ページ: 5832-5840
Int.J.Mol.Med 24
ページ: 605-611
Bolood 114
ページ: 3208-3215
PLoS One 4e
ページ: 61517
International Journal of Rheumatic disease 12(2)
ページ: 79-83