研究課題/領域番号 |
20249052
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
中島 利博 東京医科大学, 医学部, 教授 (90260752)
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研究分担者 |
山野 嘉久 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 准教授 (80445882)
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (40367389)
樋口 逸郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究所, 講師 (80183573)
赤津 裕康 医療法人さわらび会福祉村病院, 長寿医学研究所, 研究員 (00399734)
川原 幸一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究所, 助教 (10381170)
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キーワード | 関節リウマチ / 小胞体ストレス / シノビオリン / 線維化 / 肝硬変 / サイトカイン / 分泌 / ユビキチン化 |
研究概要 |
関節リウマチ(Rheumatoid arthritis;以下RA)は全身性の種々の免疫異常、滑膜細胞の過増殖、骨・軟骨破壊、線維化などの多段階の病的プロセスが相互作用しながら、多関節に同時進行することが知られている。中島らは中でも滑膜細胞の過増殖に着目して研究を進め、その成果が同細胞からのE3ユビキチン化酵素「シノビオリン」の発見として結実した。小胞体関連分解で機能するシノビオリンは、その酵素活性依存的な抗アポトーシス作用を介して関節症の発症因子として機能し、さらに小胞体関連分解系としては初めてがん抑制遺伝子産物p53の制御をも行うことを明らかとした。また、他のグループからは抗TNFα治療法のバイオマーカーとなる可能性も報告され、その臨床学的重要性が示された。本研究ではこれらの研究成果を発展させシノビオリンを機軸としたアプローチにより時・空間的に複雑なRAの総合的理解を目指している。 当該年度は主として遺伝子改変動物を用いた分子細胞生物学的解析により (1)分泌タンパク質の品質管理に関するシノビオリンを中心とした新規制御機構 (2)シノビオリンによる線維化制御 の2点を報告した。(1)RAで認められる炎症性サイトカイン、組織障害性プロテアーゼなどの過分泌、すなわち、免疫応答異常と組織変性・破壊に関する病態機構の基盤的理解につながると考えられる。また、(2)はRAの最終像としての関節硬直へのシノビオリンの関与が世界に先駆けて示した。これらの発見によりRAの各段階におけるシノビオリンを介した治療戦略の妥当性をより明確にできたと考える。
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