研究課題/領域番号 |
20249053
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森島 恒雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90157892)
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研究分担者 |
岡部 信彦 国立感染症研究所, 感染症情報センター, センター長 (10057028)
中込 治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
布井 博幸 宮崎大学, 医学部, 教授 (50218260)
近藤 一博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70234929)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
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キーワード | 炎症性サイトカイン / 単純ヘルペス / ロタウイルス脳炎・脳症 / 急性脳炎 / 急性脳症 |
研究概要 |
本年度は、以下の研究成果を得た。 (1)単純ヘルペス脳炎および非ヘルペス性急性辺縁系脳炎における髄液サイトカインの解析。 HSE群のIFN-γ、IL-6、IL-10、sTNFR1値およびNHALE群のIL-6値は非感染性非炎症性神経疾患(コントロール群)に比して有意に高値だった。HSE群ではIL-6,IL-10,sTNFR1の3者間に有意な相関を認めた。髄液細胞数、髄液蛋白濃度はNHALE群に比し、HSE群で有意に高値だった。サイトカインおよび髄液細胞数、髄液蛋白濃度の点で中枢神経系内の炎症の程度はHSEがNHALEに比し、より強いことが示唆された。NHALEにおいて髄液sTNFR1値の上昇がないことはウイルス主体の病態でないことが示唆された。また髄液sTNFR1値の上昇を認めなかったことは組織破壊が顕著でないことを示唆し、HSE群に比し予後が良好なこととの関連が考えられた。 (2)ロタウイルスでみられるウイルス血症が、中枢神経系合併症として関連しているかどうかを調べるため、ロタウイルス感染に合併して脳炎または脳症を発症した8例の症例について、急性期および回復期のペア血清と急性期の脳脊髄液についてウイルス抗原およびウイルスゲノムRNAの存在を調べた。結果:急性期の抗原血症は6例にみられ、その出現割合は通常のロタウイルス胃腸炎と変わらず、脳脊髄液にはロタウイルスゲノムRNAが検出された症例も含めて、ウイルス抗原は検出できなかった。この結果から、ウイルス血症が起こっても必ずしもウイルスが中枢神経系に到達するものではないと示唆された。 (3)死亡例:厚生労働省による疫学調査で死亡例として95例が報告され(報告上の致死率10.2%)、平均年齢27.4歳、中央値9歳(0〜83歳)であった。病原体は、不明が51例と過半数を占めるが、報告されたものではインフルエンザウイルス28例(A型16例、B型7例、型不明5例)、ロタウイルス3例、RSV2例、アデノウイルス2例(3型、41型)、コクサッキーウイルス2例(6型、7型)、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、HHV6、HSV、ヘルペスウイルス群詳細不明、サルモネラ菌、ウシ型溶血性レンサ球菌各1例であった。
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