研究概要 |
染色体転座から同定されたDISC-Mの機能を明ちかにすることを目的に、yeast two-hybrid法によりDISC-Mと相互作用する分子の同定を試みた。DISC-M遺伝子全長をpCR8/GW/TOPO vector(entry vector)に組み込み,さらにpDEST32(bait vector)に組み換えた。また,DISC-M遺伝子が正しくタンパク発現しているか,GFP fusion vectorに組み換え,Cos-7またはHEK293に強制発現させ確認した。Yeast two-hybridはProQuest Two-Hybrid System(Invitrogen)のprotocolに従い,ヒト成人脳由来のcDNA libraryを対象に検索を行った。得られたyeast陽性クローンDNAは,大腸菌に形質転換し遺伝子解析を行った。その結果,Cos-7またはHEK293に強制発現したDISC-Mは核内に発現していた。DISC-Mと結合する分子群として,転写因子及び転写制御因子をそれぞれ3種類ずつ単離できた。これら結合分子は核移行シグナルを持たず単独でtransfectionすると細胞質に発現するが,DISC-Mとco-transfectionすると核内に発現した。これらDISC-Mのbinding partnerは,神経の分化発達に重要な役割を果たすことが既に報告されており,DISC-Mが神経発達仮説を支持する候補分子であることが示唆された。rare variantを同定するために統合失調症400例を含む約1000名のDNAを用いてDISC-Mのresequenceも行った。その結果、16ヶ所に未報告の変異を同定し、そのうち6つは患者のみでしか検出されなかった(c.186C>T,c.235+95G>C,c.408+11G>A,c.408+82C>G,c.739+35G>A)。こうした稀な変異は比較的大きいオッズ比をもつ大きな遺伝子効果を持つ可能性が示唆きれた。
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