研究課題
心臓移植以外に有効な治療手段の存在しない重症末期心不全患者の救命、社会復帰を実現する「恒久的使用を目的とした空気圧駆動式ウェアラブル全置換型人工心臓の早期実用化」を目的とする。本年度は構築した血液ポンプの弁について検討を行った。現在、機械弁には一葉弁を使用しているが、臨床では二葉弁の使用が主流となっており、今後、一葉弁の入手が困難となる状況が予想される。しかしながら、二葉弁は血液ポンプの硬いハウジングへ挟みこみで固定するにはマウント部分の構造と強度に問題があり、固定方法によっては弁葉の開閉を妨げてしまう恐れがある。そこで本研究では二葉弁の選定とマウント部の構造を検討することで、弁葉の動作に影響を与えないマウント方法の構築を行った。また、昨年度までに構築した血液ポンプ駆動用空気圧発生機構のツイン化に関する検討を行った。血液ポンプを駆動する空気圧はシリンダーピストンの往復運動により発生し、シリンダーピストンはブラシレスDCモータの回転運動をクランクシャフトで直線運動に変換することで行っている。全人工心臓では、補助人工心臓とは異なり、収縮期において必要とする力が小さいため、一つのモータで左右血液ポンプの拍出と収縮を交互に同時に行うことで効率的な駆動が期待できる。そこで本研究では一つのモータで二つのシリンダーピストンを駆動するツイン空気圧発生機構の試作機を製作し、シリンダーピストンの拍出と収縮の最適な位相差などについて模擬循環回路による検討を開始した。今後、模擬循環回路による検討と改良を積み重ね、動物実験へ移行できるシステムの構築を行う。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
J Artif Organs Vol.12, No.2
ページ: 105-110
電気学会,リニアドライブ研究会資料 LD-09-38
ページ: 17-22
ページ: 13-16