本研究では、腫瘍などの病変に対する理想的な診断・治療法を確立し、発光・蛍光プローブによる新たなバイオイメージング法の開発を行なっている。H21年度、新たに理論に基づく光プローブの開発の開発に成功した。このプローブは、基質投与により長波長のシグナルを発することにより、生体内のより深部病変まで観察できる可能性を秘めている。これは従来の光プローブの機能を飛躍的に拡大させ、700nm前後の長波長のシグナルを発するもので、今後の生体イメージング法を飛躍的に発展させると期待された。このプローブに、ストレプトアビジン・ビオチン反応を用いて抗体を結合させた。 これにより、様々な抗体と自由に組み合わせることが可能となった。また、生体内で腫瘍組織まで到達しやすくする目的で、MEAによる切断により、抗原に対する結合性を残したまま、抗体サイズ減じることに成功した。この工夫により、より鮮明に腫瘍のイメージが得られることとなった。この光プローブ搭載抗体を用いて、生体レベルでのシグナル解析を行なった。ヌードマウスを用いた実験にて、肝癌腫瘍細胞を皮下および肝臓に移植し、数ミリ径となったところで、本プローブを静脈より投与し、24時間後基質(ルシフェリン)を投与した。これにより、基質投与後数時間にわたり安定した腫瘍からのシグナルが得られた。組織学的にも、プローブ搭載抗体が腫瘍抗原(Dlk-1)を認識していることを確認した。これにより、生体レベルでの本プローブの有用性を確認した。
|