研究課題/領域番号 |
20249061
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
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研究分担者 |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
三木 義男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
田中 真二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30253420)
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キーワード | EpCAM / CYP1A2 / 酸化ストレス / Importin family / miRNA / 癌幹細胞 / 肝癌 / 膵癌 |
研究概要 |
I.肝癌 1)3型に分類される肝癌の肉眼形態が予後に深くかかわることから、それらの遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイにて解析した。その結果、予後不良な肉眼形態である多結節癒合型ではstem cell markerのひとつでもあるEpCAMの高発現を認め、かつ有意な予後規定分子であることを明らかにした。現在、抗EpCAM抗体による分子標的治療に関する研究を進めている。2)単一施設における肝切除標本(trainingセット)の遺伝子発現解析から得られたデータを多施設のvalidationセットを用いて検証した結果、背景肝におけるCYP1A2低発現が再発のハイリスクであることを明らかにした。CYP1A2は酸化ストレスによって発現が抑制されることから、酸化ストレスと発癌の関連性を示唆する知見であるとともに、CYP1A2が発癌、多中心性再発の分子マーカーであると考えられた。3)核内輸送分子Importin famiyの網羅的発現解析によりImportinα1の肝癌部における発現が進行度、予後と相関し、新たな分子マーカー、分子標的となることが示された。4)癌抑制遺伝子型miRNAのメチル化スクリーニング、定量的発現解析などの手法を用いて、腫瘍特異的なDNA過剰メチル化により発現抑制されるmiR-124,miR-203を同定した。これらは細胞増殖抑制能を有し、miR-124はG0/G1アレストを、miR-203ではアポトーシスを誘導する作用のあることを確認し、前者ではCDK6やIQGAP1などを、後者ではABCE1を標的分子とすることを明らかにした。II.膵癌 癌幹細胞がプロテアゾーム活性の低いことに着目し、ユビキチン非依存性プロテアゾーム活性によって分解されるornithine decarboxylaseのプロテアゾーム認識部位degron配列とZsgreenの融合蛋白を発現するレトロウイルスベクターを構築し、ヒト膵癌細胞に導入し、癌幹細胞の特性を有する細胞群を抽出することに成功した。本細胞群(Zsgreen蛍光+)は蛍光-の細胞に比べ強い抗がん剤耐性を示した。一方、種々の検討の結果、Zsgreen+細胞に選択的に殺細胞効果を示し、動物モデルでもその腫瘍増殖抑制効果を発揮するリード化合物を同定した。
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